【読書感想】りかさん 梨木香歩

読書

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先日読んだ「からくりからくさ」のようことりかさんのお話でした。
これを読むとなおさら、「からくりからくさ」のりかさんがようこにとってただの人形ではないことが理解できます。

それにしてもなんという想像力。人形たちが話す過去の出来事もそうですが、桜の古木にようこが捕まってしまうところも・・・。ようこは「そういう質の、お子なんだねぇ」と言われますが、私は「そういう質」ではないなぁ、作者はきっと「そういう質」なんだろうな~と羨ましいような、それはそれでちょっと大変だろうなという気持ちもあったり。
おばあちゃんやりかさんの言葉や、モノや世の中への向き合い方などで幼いようこはたくさんのことを感じ取って、あぁ、そうか、だからあの「蓉子」に成長したんだなと、とても納得できました。

アビゲイルの話は実際にそのようなことがあったのでしょうか。つらく悲しいアビゲイルの運命でしたが、アビゲイルからの使命でりかさんは後々”マーガレット”に出会い、当初は蓉子にとっての「りかさん」を受け入れられなかったマーガレットの心持ちをも変えていったのでしょうか。それが果たされたから、りかさんは・・・と思ったりもしますが、「からくりからくさ」同様あまり読みきれたという感覚がないので、自信はありません。

ようこのおばあちゃんは「西の魔女が死んだ」のおばあちゃんを彷彿させる素敵なおばあちゃんでした。
「澄んだ差別をして、ものごとに区別をつけて行かなくてはならないよ」
とても良い言葉でした。

文庫書下ろしの「ミケルの庭」は「からくりからくさ」の後の話。マーガレットの赤ちゃん「ミケル」をめぐるお話。どこかで大きくなったミケルの記述を見たきがするので、作者の中でまだ蓉子たちのお話は続いているのかもしれません。(その短編をどこでみかけたか調べないと) 

なんだか改めてフィクションというものの必要性を感じた気がしました。匿名で自分はひっそりと隠れて、他人を自分の思うままに攻撃できてしまうこの世の中、フィクションで想像力や他人を想う力、自分とは違う世界を知る機会を得ていきたいと、なぜかすごく思いました。人形がしゃべるという昔夢見たことが自身に起きたようこが羨ましいと、この歳になっても思いました。

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うり子
うり子

「からくりからくさ」に続き、きちんと理解できたという自信はないのですが、これもまたよし、と思える読書でした。簡単には理解できない読書というものも良いものです。また2冊、梨木香歩さんの本を購入したので、次も楽しみです。

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