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原田マハさんの作品は2作目。気になる作品はいくつかあるのだけれど、以前読んだ「旅屋おかえり」が微妙だったので、なかなか次にいけなかった。けど、これは「旅屋・・・」よりは良かったかな。・・・くらいかな。
主人公は引きこもり歴4年の24歳。名前は人生。出だしは、「そりゃ、あんた、かーちゃん出て行くよ、しゃーないわ」と呆れていたけど、人生が受けてきた壮絶ないじめの描写には、「よくがんばった、よく生きていた、そりゃ引きこもって当然だ」と思った。ここは本書のさわりなのでページ数にすると少しだったけれど、読んでいて辛かった。いじめたA,B,Cの三人、地獄に落ちろ。(←フィクションに対してだから言っちゃうよ。マジ地獄に落ちろ。)
と、読み始めからすぐに感情移入できる小説だったから、期待したけど・・・う~ん・・・
話が進むにつれてなんとなくう~ん・・・となってきた。
なんだろう。話自体、良い話だし、心温まる場面もたくさんあるし、こういう形で、人生やつぼみが自分を取り戻していくというか、自分の人生を変えていくという前向きなストーリーは、決して面白くなくはないんだけど。うまく言えないけれど、読了後、「うまい!」「この作家さん、すごいわ!」「いいわ、これ~」みたいなものがなかった。なんというか、唸ってしまうようなすごさを目の当たりにした感じとか、しみじみ読んで良かったと思うような感じというのがない・・・登場人物の言葉に重みがないというか・・・
まぁ、そんな辛口なことを言いつつ、思わず涙が出そうな感動もあったし、マーサばあちゃんの特別な稲作はなかなかおもしろかった。普通の稲作さえよく知らないから、これがどんなに特別なことか理解しきれなかったけれど、自分の体を動かして作り上げたお米を食べるという体験は、ただもう単純に、素晴らしい体験なんだろうと感動した。
でも、また戻るけれど、小説としては、私個人的には、小川糸さんの作品を読んだ後と同じような気分になった。とても人気で、みなさんの評価は高く、面白くなくはないけど、う~ん微妙、と。好みの問題かな。辛口レビューで申し訳ないけど。
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刺さる人には刺さる作品だと思います。良いお話です。
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