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留学記といったこの手の本は大・大・大好物です。というのも、私のこれまでの人生で後悔していることは山とありますが、その中でも最も後悔していることが、「留学」という経験をしなかったことです。行動力はないし、むやみやたらに心配性というかネガティ部の部員なので、大学時代にちらっと考えた「留学」を実行することはありませんでした。だから、人様の留学記で、疑似体験させていただくのが本当に楽しいんです。異国の地での苦労、勉学における奮闘、と、みなさん素晴らしいけれど、とてつもなく大変な経験をされていて、「いや~、素晴らしい。あっぱれ!」と感心することが楽しくてしょうがないのです。
今回、いつもと違ったのは、著者が皇族であられるということ。多分、多くの人と同じように、護衛はどうするんだろ、とまずもって思いました。なんとヨーロッパに長期滞在となると、側衛はつかないとのこと。それゆえに、彬子女王が初めておひとりで歩かれたのが、オックスフォードということになるそうです。そういったことや、パスポートが違うこと、人脈など我々と違うところは大いにあれど、勉学での苦労は一般の人と変わらないということがわかりました。博士課程を修了するということがどんなに大変なことか、それも論文を母語でない言葉で書くということがどれほど大変なことか。彬子女王も、幾度となく涙を流され、ストレス性胃炎を患われるという苦労を重ねながら、ようやっと修了しておられます。
詳細は本書をぜひ読んでいただきたいのですが、幽霊列車事件や、空港が違った事件など、読む側にとってはなんとも愉快な珍事件もあります。これも日本と違って、側衛がいないからでしょうか。あ、でも、側衛さんのおもしろエピソードもあります。これなんかは、なかなか耳にすることのできないお話です。
と、勉強のことだけでなく、生活面や、オックスフォードからの旅についても、彬子女王が経験されたことがよくわかる本でした。
よく、「若い時の苦労は買ってでもせよ」と言いますが、こういった体験記を読むたびに、このことわざの「苦労」はまさしくこういうことだな、と思います。
実際、留学での苦労を含めた経験は、彬子女王の大きな宝ものになっているように感じられました。
皇室の方、という以外は他の留学記と同様、当時のあれこれが書かれた本といったらそれまでですが、余計に飾り立てない、素直でシンプルな文章がとても印象的でした。お人柄も、謙虚でありながら、強い意志、意欲をお持ちであると感じられました。
多くの人にとって、読みやすく、爽やかな読了感の留学記だと思います。
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大学のアカデミックな雰囲気が大好きです。本書にも少し記述があったと思いますが、日本の大学と違って、オックスフォード大学などはその町全体がキャンパスのようなものだそうです。
その国も大学名も町の名前も1ミリも思い出せませんが、講義室が町のあちこちに点在しているという大学もあるというのを何かで読んだか見た気がします。そんなところを訪れてみたいです。
けれど、やっぱり研究するってことは大変だな~、当然ですけど、熱意がないとな~と思った次第です。一般人がなかなか知ることができない皇室の事情も面白かったですが、いち研究者としてのご経験、ご苦労がとても興味深かったです。
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