【読書感想】帰命寺横丁の夏 柏葉幸子

読書

ブクログに投稿した感想をこのブログにも載せています。

私の本棚はこちら。良かったら寄って行ってください。

**********

大好きな柏葉幸子さんの作品。
小学生の頃、そんなに読書好きというわけでもなかったけれど、市の図書館で、「柏葉幸子」のところを入念にチェックしていたことを急に思い出しました。
児童書の感想は必ずしも書いていないのですが、本作、とても面白い作品だったので・・・。

まず、「あ、柏葉幸子さんの作品だ」と思ったのと、タイトルがすごく気になったので、図書館で借りて読んでみました。挿絵もすごく印象に残ります。ちょっと地面から浮いている感じの女の子はタイトルとの関連を探らずにはいられないし、日本風の町並みと女の子のむこうには、異質なお城のようなものが。読んでいくうちに「あぁ!」と思わず手を打ちたくなります。

小学5年生のカズは、自分のうちの仏間から知らない女の子が出てくるところを目撃してしまいます。幽霊だ!と思ったカズですが、学校に行くとその女の子がクラスにいるではないですか。しかも、その子を知らないのはカズだけ。みんな、その子のことをずっと一緒にいたクラスメイトと認識しています。そしてカズは、昔の地図で自分の家の周辺が昔、帰命寺横丁と呼ばれていたことを知り、そこから、カズの夏の奮闘が始まります。

ネタバレしたくないので、すごく感想を書きにくいのですが、あかりのために奔走するカズ、めちゃくちゃいい男やないですか。小学5年生でこれだけの男気があるなんて。惚れてまうやろ~~~~。

あかりのことを思って何度もカズは自分が「情けない」と泣きそうになりますが、全然そんなことはなくて、だって、カズに降りかかってきた問題はとっても難しく正解がないような問題で、大人だってどうしていいかわからないと思う。
むしろ子どもながらの純粋さで、思ったことをやってみるカズの行動力はすごい。水上のばあさんとのやりとりはかっこいいです。朝からピンポン攻撃(笑)

カズの身に起きたというか、あかりの身に起きた不思議はもちろん不思議で、続きが気になってしょうがないのですが、劇中劇が出てきてなおさら、読むのをやめられない勢いになってきました。この劇中劇というのか、作中作というのか、入れ子のような物語が強烈で、一瞬どっちの話がメインなんだ、えっと、今カズはどんな状況だったんだっけと、ちょっと迷子になりそうでした。暗くて怖くてぞっとするようなお話で、これは児童書なのか、そういえばちょっとグリム童話みたいだな、あぁ、でも何かがカズたちと関連しているような・・・とひっかかりを覚えたり、結論、すごい物語で、すごく良い物語でした。
(そして、すごく個人的なことですが、「青の読み手」という児童書を同時に読んでいたため、その世界観とこの劇中劇「月は左にある」の世界観がごちゃごちゃになってちょっと混乱しました。)

カズとあかりのエンディングはちょっと唐突な気もしましたし、そうなると、祐介のこの一か月の記憶はどうなる?などといらんことを考えてしまったりしましたが、とても大満足な読後感となりました。
あかりと石の鳥の息子、同じような立場でありながら、「生きる」ということに対する心持ちが違って、なんだかとても考えさせられました。

やはり柏葉幸子さんの描く世界はすごい。日常の中にファンタジーが入り込んでくる柏葉幸子さんの世界は、ファンタジーの度合いに違いがあれど、もうまさに柏葉幸子ワールドです。いい歳した大人ですが、小学生の頃と変わらず、ワクワクさせてもらいました。児童書と括らずに、もっとたくさんの人が読んだらいいのに〜と地団駄踏みたくなりました。

**********

うり子
うり子

柏葉幸子さんの作品もまだ読んでいないものがたくさんあります。少しずつ機会を作って読んでいこう。そう思うだけで、楽しみが増えて嬉しくなります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました