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こんなにも具体と抽象について考えたことはなかった。評判通り、読んでよかったと素直に思える本だった。
読み始めは眠くてしょうがなかったが、後半一気に読んでしまった。前半を寝ながら読んだ反省もあり、珍しく立て続けに二度読みした。濃い内容のわりにボリュームが少なく、各章に4コマ漫画もあって、二周さらっと読めるくらい、読みやすかった。
初めの方に書かれているように確かに、「具体」はわかりやすいゆえに、わかりにくい(とされる)「抽象」より、より良いという風潮がある。私もそのように思っていなかっただろうか、と自問するところから始まった。
人間は物事を「抽象化」して、知能を高め、学問を発展させてきた。その最たるものが言語だとのこと。ほーーーーー!という感じだった。
また、具体しか見ない人は抽象の世界にいる人のことが見えない。ここによくコミュニケーションのずれが生じる、と。ほほーーーーーー!ですよ。
仕事やプロジェクトという例をとると、上流の仕事は抽象の世界で決定し、下流におりていくにつれ、より具体の世界で実行・実施されることになる。説明されれば全くその通りで、何でこんなことも知らずに、何年も働いているんだと恥じ入ってしまった。だから、上司と部下がそれぞれ抽象と具体の視点で話すとギャップが生じることになり、そこに苦しんでいる人は多いのだなぁ・・・ただし、頭で理解しても具体と抽象は相対的であることがまた難しい。つまり私が抽象と思ったことを他人も抽象と思うかといわれればそうではないということ。
大切なことのひとつは、「具体と抽象」に切り分けて考えるということ。例えば、上司の指示がコロコロ変わると考える部下は具体レベルでしか発言を捉えられていない。抽象レベルで見ると実は上司の方針が一致していることがある。
そして一番大切なことは、抽象と具体の往復の行き来で物事を見て考えることが大事だということ。どちらか一方でも十分ではないということ。
自分を顧みると、特に仕事においては具体の世界にいるような気がした。それは今現在の業務内容、立ち位置や、それこそ、上の方針が見えにくいことにも起因するのだろうが、具体ばかりを求めて、「木を見て森を見ず」、「本末転倒」になってはいけないと身につまされた。抽象の考え方は今後、自分が仕事をしていく上での大きな意味を持つものとなった。
良い法則(抽象)はよりたくさんのこと(具体)に流用できる。これこそが抽象化の最大のメリット。「一を聞いて十を知る」抽象がより良いということ。そんな文言から、そういえば、とふと思う。
「絵本」、特に長く読み継がれている「絵本」って抽象的なものが多くないだろうか。つまり、どのように捉えるかは読み手によって違って、直接的な教訓を示さない。最近は内容がとても直接的で具体的な絵本(というより一種の教科書のような本)が多くて、なんとなく興ざめだなと思っていたのだが、これって私の心が絵本に抽象の世界を求めていたのだろうか。(全然関係なかったらすごく恥ずかしいけど)
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無意識なだけで意外と具体と抽象を行き来しているんだと思います。そこを意識することが大事。そして具体と抽象を切り分けて考えると、言ってることがわからないと思っていたあの人の話も少しはわかるかもしれませね。
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