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本当に、教師って大変な仕事だと思う。私は、子どもの担任の先生には、感謝しかない。幸せなことだとも思った。
「子どもの7人に1人が貧困」って、実感がわかないけれど、そういわれて数年は経つと思うし、虐待やネグレクト、それこそ、親が給食費を払ってくれない、なども現実にあるんだろうと思う。
本書がフィクションだとしてもこの世界のどこかにこんな子がいるのかと思うと胸が痛む。こうして物語にして多くの人に読んでもらえるのはシンプルによい。
しかし、この物語を読みながら感じた違和感は「大人の連携のなさ」。ひかり以外の教師、学校、行政は何をしてるの?という違和感。
赴任したてのひかりにそこまで責任を負わすの?学校はこれまで何もしてなかったのに、ひかりを責めちゃうの?学校内の教師の連携がないなら、行政との連携は?
とてもじゃないけど、赴任したての若い教師が一人で立ち向かえる問題じゃなさすぎる。それをわかってて、校長も副校長も相庭も、ひかりに全てを負わそうとしているのならば、生徒より、教師が問題なんじゃ・・・
例えば真亜紅のこと。彼が教室を出ていくのなら放っておけ、他の生徒に危害を加えないならそれでよい、というのには一理ある。しかし、そこで終わるのではなく、なにがしかの対応をしなかったら、それはただの放置。学校の、教師の、責任になる。というのは、教育現場の実情を何も知らないから言えることなんだろうか。実際その立場に自分がなったら、相庭がいうように「異動までもなにもしない」、そうなってしまうのだろうか。
学校・教師で手に負えないのなら行政を頼れないのか。もしそれも機能しないのなら、今後深刻な問題は放置されまくりの日本になるな・・・、とちょっと絶望しかけた。
問題児を抱えるひかりの奮闘に、さらに殺人事件までが絡んできて若干ミステリーチックになり、少し物語と自分の気持ちが離れた感があったけれど、先が気になり、どんどん読み進んだ読書だった。
「子どもがとる行動には、すべて理由がある」
ずっと辛く、重い雰囲気が漂う話だったが、ひかりが教師としての大切な気づきをその都度その都度心に刻んでいく様が、とても尊かった。こんな教師が救われる社会、仕組みでありますように。
「ひかり」という、いち教師の物語だが、やはり私の大きな関心は子どもたちへ向かう。子どもへの虐待、ネグレクト等々、絶対に見過ごされてはいけない。環境や親を子どもは選べない。大人になりきれない大人から子どもたちを救うために、自分には何ができるのか。大きな宿題を課せられた気がする。
「神様、どうか、この世に生まれたすべての子どもたちを、幸せにしてください」
ひかりのこの言葉が少しでも叶いますように。
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数年前の悲しい虐待事件をきっかけに、「親や身近な大人を頼るしかない無力な子どもを虐待するなんて、最低最悪な犯罪だ」と怒りに震え、子ども福祉に関わる団体に寄付などしていました。このところ怠っていたので、また寄付しようと思いました。
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