**********
とても久々に重松清さんの作品を読んだ。好きな作家さんなんだけど、なかなか機会がなかったというか。
記憶に残ってるのは「流星ワゴン」とか「その日のまえに」とか。後者はもう一度読みたいと思っているんだけれど、めっちゃ泣くだろうから、ちょっと躊躇している・・・
それで、本書。
書き出しからいい!もうおじさんになっている主人公がふとしたきっかけで思い出した、今やおばさんになっている大事な大事な友達を探して欲しいと読者に呼びかける出だし。その友達は一年間しか一緒にいなかったようなのだけれど、おじさんの語りからするにかなり濃い時間と思い出を共有していたようで、なんとも温かく、出だしからじーんとした気持ちになった。
その友達、マコトが真っすぐすぎて、眩しい!
マコトを仲間外れにしようと画策する動きを感じたツヨシが「学級会で話し合おうか」と提案すると、はっきりノーというマコト。その理由が正論過ぎて・・・、どうやったらこんなに純粋な心を持った子になるんだろうかと思う。
その理由とは、
・それより、なぜ、これまで(イジメに近い状況にあった)高野さんのことを話し合わなかったのか。
・そもそも話し合う云々より、あんたが声をかけるなどの行動ができたんじゃないか。なぜそれをしなかったのか。
ごもっともです。
こんなに簡単に言葉にしていいことではないかもしれないけれど、苦労をしている子や、人生の早い段階で他の子より深い喪失感を味わった子は、得てして強く逞しくなっていくことが多いと思う。(逆に卑屈になる子もいるかもしれないけれど・・・)
マコトはそんな逞しさに、純粋な正義感も持ち合わせていて、本当に稀有な存在だと思う。
読み終わってからようやく、「あ、児童書なのかな?」と気づいたけれど(遅っ)、「小学四年生」で連載されていたものということ。なるほど、小学生中学年以上なら、読めそうな良書。
シンプルでまっすぐで、大人にありがちな変な思惑や邪念がなくて、読後はなんだかとっても心が晴れ晴れとした。今の子どもたちの目の前に広がる世界も、こんなふうにシンプルでまっすぐでありますように。
それにしても、こんなに子どもの目線で物語を紡げる重松清さんはやっぱりすごい、と思いました。
**********
マコトの真っすぐさとツヨシの素直さに心が洗われた気がします!
コメント