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だいぶ前から読みたいと思っていて、やっと読めた。
もうこんな歳だけど、今から強みを生かせるでしょうか、となんだかすがるように読んでしまった。
本書は、森岡さんが就職活動に悩む娘さんへ書いたものが書籍になったということで、その年代の人たちにはかなり刺さる内容だと思う。私もその頃、こういったことを知っておきたかったと思う。とはいえ、今の私が読んでも充分に学びのある内容で、新卒の就職だけでなく、転職や起業で悩む人にもオススメできるものだと思った。
・・・さっき、この本を若い頃に知りたかったと書いたけれど、本音を言うと、あの頃の私が読んでも、本書の内容は30%くらいしか伝わらなかったのではないかとも思う。なんなら、「けっっ」と反発さえしていたかもしれない。
というのも、森岡さんが指摘するとおり、私は、本当にのほほんと何も考えず、労働者という歯車を生み出すための日本の教育システムにまんまとハマり、目の前に敷かれたレールしか見ておらず、そのレールに沿ってここまで、どんぶらことここまでやってきたタイプだから。あの頃の私には刺さらなかっただろうな、と思うと、今がそのタイミングだったと思って、学び直し!です!
今まさに、毎日、毎週、毎月、毎年のスピードが速くなる中年と言われる年代に突入し、これまで一体何をしてきたのかと我ながら恐ろしくなるほど何の職能も身に着けていないという状況になっているのだが(私が所属する組織も、日本の多くの組織と違わず、数年での異動を繰り返し、スペシャリストよりゼネラリストを黙々と生み出す組織なのだ。)、本書に従って、頭と心をフル回転させてみた。
ふむふむ。
・自分の中に基準となる「軸」を持つ
・成功は必ず人の強みによって生み出されるのであって、決して弱みからは生まれない
・資本主義の本質とは何か
・会社と結婚するな、職能と結婚せよ
・コントロールできる変数は3つだけ
「己の特徴の理解」「それを磨く努力」「環境の選択」
・日本の教育システム
ふむふむ。なんとなく最近やっと見えてきたような社会構造など、簡潔に説明されていて、かなり理解できた。この歳になってやっと戦う場所がどんなところが見えてきたってもんです(笑)
そして、私は、えっと、Tタイプの人間だな。ふむふむ。方向は大きくは間違ってなさそうだな。え?自分をブランディングする?考えたことなかったけど、確かに筋道立てて自分をブランド化して売り出すって、基本的なことなのかもな・・・
などなど、得るものは多かった。そして、話し言葉なのでわかりやすい。
読み応えがあったのは、やはり第5章「苦しかったときの話をしようか」だった。P&Gに就職してからのオーバーワークや自分への自信喪失から電話が取れなくなって、おそらく限界地点ギリギリでの上司への直談判。それから、P&G米国本社での苦労はもう、ぜひ本書を読んでいただきたい。私みたいな弱い人間は読むだけでもう心がポキッと音を立てて割れた。実体験をした森岡さんの強さに驚愕。ここも限界地点ギリギリだったと思うけれど、最後の最後に森岡さんを奮い立たせた考えが、ここで自分が逃げたら、今後P&Gジャパンから米国本社へ日本人が来れなくなる、日本人がバカにされるという思いだったとのことで、人って自分のためより人のための方が強くなれる気がする。なんてちょっとズレた感想を持った。この章だけでも、この本を読む価値はある(え?ここ?森岡さんが伝えたいことのメインではないんでない?というツッコミはなしでお願いします)。
「迷ったときは厳しい方をとれ。コンフォートゾーンを抜けなければ、力は発揮されない。」
戦国時代の武将が今、ちらっと見えた気がする。やはり世に出る人は違う。コンフォートゾーンどころか、ずっとぬるま湯に浸かっている私なんぞ、そりゃ・・・(以下省略)。
やはり森岡さんは変人だ。色んな意味で普通ではない。かなりの戦略家だし、凝り性だし、野心家だし、いわゆる頭のいい人だ。みんながみんな森岡さんのようにはなれるわけではないので、できることは真似しよう。森岡さんの知識を盗めるなら盗もう。そういったスタンスでいい、とは思う。それでも、やはり、就活時期の若者には是非とも本書を読んで、まずは自分を良く知ること、そして軸を持つこと・・・と進んで実践していくことをオススメしたいと思う。素直に読むことができたら、きっと大きな財産になる。
「おわりに」にあった、「やりたいことを考えないことや我慢することがデフォルトになっている社会を、それぞれの”欲”に対して素直に旗を立てて進むことが当たり前になる社会に変える」という言葉に森岡さんの使命感の強さを感じた。
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とても読みやすい本でした。森岡毅さんのマーケティングの本が気になるので、読みたい本リスト入りです!
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