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最近気になってしょうがない青山美智子さん。このブクログでもよくその名前を目にするので、まずは一冊読んでみようと思っていたところ、友人が貸してくれて、小躍りした♪
こういうのをリレー形式っていうのかな。
カフェの雇われ店長の若い男性視点の話から始まって、ゆるやかに繋がっていく人々の短編が全部で12話収録されている。それぞれにテーマカラーが示されていて、舞台は東京から始まってシドニーへ、そしてまた東京のカフェに戻ってくる。次は誰につながるのかな、と予想するのも楽しかった。結構外れたけど(笑)
緩やかにつながっていく人々の中心的な存在がマスターだけど、そのマスター自身が主人公の短編はない。
どれも、生活や人生におけるささやかな、でも本人にとっては重要な悩みが気持ちよく解決というか、落ち着くべきところに落ち着いていく感じがとても、優しい。
誰もが、どれかには共感できそうな「普通さ」が良かった。
一番心に残ったのが、「カウントダウン」。テーマカラーはグリーン。これだけが唯一、ファンタジー的なお話だった。幼いころからの呪縛に解き放たれて自分の「好き」を心置きなく受け入れ、外に向けて表現できるようになる、「よかったねぇよかったぇ」と心から思う短編だった。
「半世紀ロマンス」も上品な語り口が素敵な短編だった。「正しい謙虚さというのは正しい自信だし、本当のやさしさは本当のたくましさ」は、良い言葉だった。
穏やかで優しくて少し物足りないかもと思いながら読み進めたのだけれど、不思議とそんなことはなかった。まさに寒い日にあたたかいココアを飲んでほっとする感じで、とても満足感があった。
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友人は「すごくよかった」と言っていました。私も、「手元に置いておきたい」ほどではなかったものの、とてもよかったと思いました。心が疲れている時に読むとほっとできそうです。
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