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「夢をかなえるゾウ」シリーズは全て読んでいるつもりだったのに、文庫本になったら買おうと思ってすっかり忘れていた第4弾。先に0を読んでしまっていた。ま、ええわ。
シリーズの中でこれが一番刺さる!と言う人が多いと噂には聞いていた。聞いてはいたけれど・・・。確かに、刺さる。刺さった!だけど、あえて言いたい。シリーズを初めから読み続けてからの第4弾で、しかもそれが、「死」を意識させられるものだったから、刺さるんだと。未読の方にはぜひ「第1弾から」、読んでいただきたい。
早々に感想から脱線してしまった。
気を取り直して。
今回の主人公は妻も子もいる男性で、突然余命三か月と告げられるところから始まる。本書も読み始めは相変わらずのガネしゃん(ガネーシャ)。
誰もが自分が死ぬことを考えていない、いつか来るとは思っているけれど、それはまだ先の「いつか」だと思っている。それが、突然、自分の死が現実的になり、実際に死を目前にしたらどう生きたいと思うのか。とても難しいテーマだけれど、健康な人もそうでない人も、主人公と一緒に課題をクリアしていくその過程でみえてくる大事なことがたくさんあったと思う。
個人的には数か月前に友人を亡くし、その友人のことや「死」が頭の片隅から離れないこともあって、しばらくこの本を手に取れないでいた。どうしても、友人を、残された家族を、考えてしまうだろうと思って。やっと手に取って、シンプルに「今が読むタイミングだな」と思った。
本書もこれまでのシリーズ同様にガネしゃんから課題が出され、釈迦や、今回は死神も加わり、ボケツッコミが満載なドタバタを経て課題をクリアしていく。「いつもの感じだな」と当初の設定をちょくちょく忘れていたところ、後半、様子が一転。ネタバレになるので詳細は書かないけれど。
常々思っていることだけれど、全ては「バランス」が大事なんだということをガネしゃんも言っているんだと、複数の課題から感じた。
たとえば、「経験したことのないサービスを受ける」という課題と「節約を楽しむ」という課題なんて、わかりやすく対照的で、どっちもバランスよく経験してみる必要があるということ。
「周囲の期待と違う行動を取る」「限界を感じたときにもうひと踏ん張りする」もバランスよくやっていかないと、どうなってしまうかはわかりやすい。
「夢をかなえる」と「夢を手放す」も結局はバランスなんだと思う。
バランスをとるためには両方を経験して、自分で考えて行動していかないといけない。
今回の教えで一番心に残ったものは、「かなえてきた夢を思い出す」。というか、この課題というより、「本書の使い方~最後の課題~」からの数ページはすごく深かった。
・「夢を手放す」という「夢」、これもまた人間の「夢」なんだということ
・多くの人が夢を追いかけたり、夢が叶わないと嘆いたりするけれど、実はこれまで多くの夢を叶えてきているんだということ
・人間はそれまで持っていた何かや、これから期待している未来図などを「奪われる」ことで不幸だと感じるということ
・「死」が恐れられているということ
「うわ~、深い~!」と思いつつ、きちんとメモを取っていないので、かなり自分なりにかみ砕いてしまったけれど、きちんとした文章にはまとめられないほど、色々な教えや示唆がギュッと詰まっていた。
読んでよかったと心から思える本だった。最後の課題は、もうこの「夢をかなえるゾウ」シリーズの集大成やろ、と思えるほどだったけど、よく考えたら、このあと「0」も出版されてるんだ・・・。
これだけの教えというか、大事な気づきをシリーズで刊行し、物語としても完成していて、それでいて決して笑いを忘れない。すごいことだと思う。
本当にどんだけ笑いだとかボケだとかに貪欲なんだ。(←そっち?)
なかなか時間がないもののシリーズ第1弾からまた再読したくなった。
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収納の関係であまり本は所有できませんが、「夢かなゾウ」シリーズは全て私の本棚に鎮座しています!
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