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読み終えた後、少し頭を傾げたくなるような、そしてちょっとゾクっとする短編が4つ。独立しているようで、水、ケモノ、芳蓮堂などのキーワードでゆるやかに繋がっている。
短編ということもあり、ずいぶん前に読んだ「宵山万華鏡」を思い出した。
やはり森見登美彦さんは、京都という街を素晴らしい舞台に仕立て上げるなぁ、と思った。この不気味さも「京都」だからこそなんだろうと思う。観光客であふれかえる華やかな表通りから一本入ると何かが起こりそうな、趣があるけれどどこか閉塞感が漂う古い裏路地・・・。京都はもうしばらく訪れていないのに、そんな想像がはっきりとできてしまう。あぁ、京都にまた行きたくなってきた。
この4つの奇譚について、何がどうでどこがどうつながって、時系列は・・・などと考えるといけない。はっきりしない。ジメッとして、ヌメッっとして、ゾクッとして、モヤモヤ。そういう作品なのだ。それでいいのだ、きっと。
好き嫌いが分かれる作品かもしれない。私としては好きではないけれど、読んで良かったと思う作品だった。おもしろかった。
森見さん、黒髪の美女を追いかける阿呆な大学生や、天狗と争う賢い狸だけではなく、こんな物語も書けるんですね。やはり素晴らしい作家さんです。
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うり子
久々の森見作品でした。この作品は独特ですがやはり、森見さんも好きな作家さんのひとりだとあらためて思いました。そうだ、京都行きたい・・・
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