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垣谷美雨さんの作品を読むのは初めて。初めての作家さんは、読む前、ワクワクします。
いやー、なんかジェットコースターみたいな小説でした。映画化されたと知り、このドタバタは映画にうってつけだと思った。
娘の派手婚に五百万円、舅の葬儀等に四百万円、そのうえ夫婦そろって失業・・・などなど、お金をめぐるアレコレにも驚いたけれど、なんだかんだよくわからない人間関係というか登場人物の人柄にさらに驚いたなぁ~という感想だった。
友人のサツキもしっかり者なのかなんなのかよくわからないし、義理の妹にあたる志々子もよくわからない(結局は寂しい人?)、家計が火の車だって言っているそばから「おふくろには、高級品を食べさせろ」と言う夫にも「は?」という印象しかないし、娘のさやかにいたっては、大人しい子だと思っていたら、夫に暴力をふるっていたなんて。もうドタバタ過ぎて、あ、そうか、これコメディだったんだ、と思うとおもしろくなった。結局は主人公の篤子もなんだかブレブレだったな~と思う。一番軸があっておもしろいキャラクターだったのは、前半存在感がなかった姑だった。
誰ひとり共感できる登場人物がいないし、セリフの言葉選びが好みではなかったけど、このドタバタの先が気になり、どんどん読み進めていったという点では、作者の意図(したかどうかわからないけど)にまんまとハマったということ。「ないわー」「ありえないー」などと、なんだかんだ楽しく読み終えた(笑)
あ、でも、別の角度から考えると、ポンポンと必要なことを端的に話していく登場人物の会話のやりとりも小気味良いといえば、悪いこともない気がしてきた。姑が「連絡してあげなさいよ」と言ったらその友人はもう20分後にはそこに来ている、とか、テンポがいいといえばいい。ん?ブレてるのは篤子ではなく、私?(笑)
お金の使い方として参考になったのは、やはり終盤サツキの義母のお葬式の仕方だった。高額な料金がかかる葬儀屋に頼まず、お寺にお願いして自分たちの手で葬儀を行う、というのは「そっか、そんな方法もあるのか」と目から鱗だった。
と、なんだかんだ楽しい読書でした。たまにはこういうスピード感のあるコメディタッチの小説もいいですね。
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私の読書はかなり偏りがあるので、ほかの人からのおススメなどはとてもありがたいです。知らなかった作家さんを知るいい機会になります。いつも本を貸してくれる職場のパートさんには大感謝!
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