【読書感想】ディズニーキャストざわざわ日記――〝夢の国″にも☓☓☓☓ご指示のとおり掃除します 笠原一郎

読書

ブクログに投稿した感想をこのブログにも載せています。

私の本棚はこちら。良かったら寄って行ってください。

**********

「ディズニー好き?」と聞かれたら、もちろん答えは「イエス」。ここでの「ディズニー」は、ディズニー映画を指すわけでも、もちろんウォルト・ディズニーその人を指すわけでもなく、ランドもシーも含めた「東京ディズニーリゾート」なのだけれど、そのように難なく解釈できるのはやはり好きだからだろうか・・・などとどうでもいいことを初っ端から書いてしまった。

本書は、キリンビールを早期退職し、ディズニーランドのキャストとして8年間働いた著者が書いた、キャスト目線のありのままのディズニーランドだ。

本書を知ってからすぐに図書館に予約をした。すごく興味があると思った。というのも、遠い遠い昔、大学時代、「ディズニーランドでバイト、いいかも」とちょっと思ったことがあったから。結局、「ちょっと遠い」とか「大変そう」とか「夢の国は夢の国のままであって欲しい」とか思って、つまり行動力がなく、実現しなかったけれど。

図書館の長い長い順番待ちの末、やっと借りることができて、すぐに読み終わった。短時間で読める本だったけど、予想通りとても興味深かった。

ディズニーランドのキャストといっても職種は様々。著者の笠原さんはカストーディアルキャスト(清掃スタッフ)として勤務されていたとのこと。ちょっとびっくりしたのは、このカストーディアルキャスト、様々なキャストの中でも人気の職種なんだとか。笠原さんが書かれるまでもなく、雨や暑さ寒さが大変そうなのに、みんなすごいねぇ、と思ってしまった。でも、考えてみれば、一番頻繁にゲストに関わる職種であるともいえる。清掃を主とする職種とはいえ、「ポップコーンこぼしました、すみません、お願いします」だけでなく、「〇〇はどこですか?」「パレードはどこからよく見えますか?」「バースデーシールください」など、本当に色んなことを聞かれ、頼まれ・・・まさしく「ゲストにハピネスを届けたい」という思いがない人は絶対にこなせない仕事だと思った。

しかし、まぁ、色んなゲストがいるもので、これは日常生活だろうと、夢の国だろうと関係ないのだろうけど、人間として基本的な礼儀や節度のない態度には読んでいてイラっとする。キャストの皆さんの忍耐強さに頭が下がる思いだった。
逆に笠原さんも書かれているように、すばらしい出来事もあり、きちんとした感謝は当然のこととして、わざわざ笠原さんを探して御礼を告げたというゲストには、何の関係のない私からも「彼らに幸あれ」と願ってしまった。

対ゲストの話題以外にも笠原さんがたくさん書いておられたのが、キャストの人間模様、人間関係など。ディズニーが好きで好きでキャストをしている人が多い中、全く好きではないというキャストもいるとのことで、少し驚きつつも、好きじゃない人がいても当たり前だし、笠原さんが言われるようにそっちの方が組織に多様性があっていいのかもしれない。ただ、常に横柄な態度で、ゲストに対してもそっけないキャストもいたようで、そんなキャストさんにはお目にかかったことがないので、かなり驚いた。それこそSVに注意されないのだろうか。(あ、でも、そのキャストはのちにゲストとトラブルになり退職したとか。)いくら夢の国・ディズニーとはいえ、特に「職場」となってしまうと、好きな人嫌いな人苦手な人がいて当然だけど、あいさつもしない人もいるとはこれまた驚いた。若い人にありがちな、自己中心的な勝気な態度なのだろうか。こういう人に限って、ゲストには愛想をふりまくのだろうかと考えたり・・・。
それにしても、SVの指示にちょっと反発したりする天邪鬼な著者に、なんか近いものを感じてしまった。

で、著者の笠原さんがこの本で何を伝えたいのか。
「オリエンタルランドよ、もう少し従業員の生活を守るために給料をアップしてくれ」だと私は解釈した。
これは日本全体に言えることだと私は思う。
本書によるとオリエンタルランドの約75%が準社員やアルバイトで成り立っているという。彼らは決して高くはない時給で雇われ、日本最高のおもてなしスキルを求められる。先述したようにディズニーが好きで好きでキャストをしている方も多いようで、特に妻子持ちの男性なんかだと他のバイトとの掛け持ちでがんばっているようだ。そういう若い人に、笠原さんは「正社員での就職」を勧めていたという。これ、疎ましく思った人もいたかもしれないけど、正論だと思った。いくらディズニーが好きでも、準社員やアルバイトでは自分の生活が潤わない。生活が潤わないと、仕事もディズニー好きという趣味も潤ってこない。

「将来キャストになりたいです」と手紙をくれる子どもたちがキャストに夢を持てるように、との著者の思いは、本書でよく伝わってきたと思う。

真面目に締めてみたけど、全体を通して、ゲスト目線でしか知らないディズニーをキャスト目線で垣間見ることができてとても興味深かったので、ディズニー好きにはぜひオススメしたい。

東京を離れてからも「年一ディズニー」を勝手に目標にしていたのだが、コロナ禍でもう数年東京にさえ行っていない。「ディズニー行きたい」という思いに拍車をかけてくれた本だった。

**********

うり子
うり子

ディズニーキャストさんたちのあの素晴らしいおもてなし精神は長い時間かけて培ってきたものだと思うから、そこが損なわれないようにキャストさんたちへもっと報酬という形で還元できたらゲストとしても嬉しいなぁ、と思ったり。あ、ディズニーランド40周年なんですね~。行きたい~~~~!

コメント

タイトルとURLをコピーしました