【読書感想】ただいま神様当番 青山美智子

読書

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私の本棚はこちら。良かったら寄って行ってください。

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ミニチュア写真家の田中達也さんとの対談が巻末に記載されていて、恥ずかしながら、田中さんを初めて知った。確かに「木曜日にはココアを」の表紙はすごく素敵で、何度もじっとみつめてしまった記憶がある。そうか、あの素敵な表紙にはそんな経緯があったのか、と納得。青山さんと田中さんの仕事への思いの質感が似ていて興味深かったです。

で、肝心の内容ですが・・・

う~ん、いい・・・。ほんわかする。青山さんの文章は肩ひじ張らずにリラックスして読める。深く傷ついたり落ち込んだりせずに安心して読める。だからといって、浅い読書とはならない。

それにしてもどうしてこうも各短編の登場人物たちががうまくゆるく繋がれるんだろう。

OL
小学生の女の子
高校生男子
イギリス人の大学非常勤講師
零細企業社長

の5が収録されている。

4つ目、リチャードの話のなかで、”Actually、 it is a very difficult problem for me.”を、「ぶっちゃけマジ無理」と学生に訳され、〇にするか×にするか迷う場面なんて、リアリティーがあって、訳とともにうまいと思った。5つの短編の主人公はみんな「坂下」というバス停で顔を合わす仲なのだけど、リチャードとひとつ前の短編の主人公・高校生男子が直接会話をする場面で、その内容が全て前編に通じていてよかった。高校生男子の経験がリチャードの心を動かした。ふたりの心が通い合った。なんて素敵。

一番好きだったのは最後の零細企業社長・福永の話かな。いや、今時こんな俺様社長もないだろ、と思いつつ、なんだか感情移入してしまう人だった。それは、私の年齢のせいか、私も仕事について悩みを抱えているせいか・・・。裸一貫やり直す気概のある人でほっとした。

前回の青山作品へのレビューにも書いたけれど、青山作品の何が素敵って登場人物がみな、結局は自分で決めて自分で行動していること。今回は「神様」が、きっかけにはなっているけれど、何かが大きく変わらなくとも、モノの見方ひとつ変えるだけで、自分で自分の周りの世界を変えていけるのだと気づくこと。

さて、次はどんな優しい世界を見せてくれるのか、青山作品をまだまだ読んでみたいです。

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うり子
うり子

誰にでも安心しておススメできる本っていいですね。友達におススメできるかちょっと悩むなという本や、周りの評判はよくないけれど私だけは気に入っている本とかも好きですが💦

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