【読書感想】正欲 朝井リョウ

読書

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うーん、すごくレビューするのが難しい・・・
これを「すごい作品だ」という人がたくさんいるのもわかる気がするし、戸惑ったような感想を抱く人も多いだろうとも思う。

私はどちらかというと後者だ。戸惑った。そして、どう感想を書いていいのか、今もわからない。

初っ端から、今人気の言葉「多様性」を否定するような内容。いや、違う。「多様性を否定」しているわけではない。「多様性」を声高らかに掲げる人はマジョリティであり、当然のごとく共通のゴール(明日死にたくないというゴール)に向かっている人であり、そんな人達に正義感たっぷりに「多様性」をさけばれても、いや、ほっといてくれ、と思う人もいるんだよ、ということか・・・・
「みんなちがって みんないい」の何がいけないのか・・・
大いに戸惑いながらページをめくることとなった。

寺井啓喜、桐生夏月、神戸八重子、という三人が、視点を変えて登場する。啓喜は登校拒否児童を子に持つ検事で、夏月は地元のモールにある寝具店で働く女性、八重子は学園祭の実行委員を務める大学生。

寺井啓喜の通常ルートを外れた人間に対する凝り固まった考えにも、桐生夏月の世の中に対する卑屈さにも、神戸八重子のまるで自分は新しい価値を提案しているんだという話し方にも、なんでかイライラさせられた。きっと彼らのどこかが自分の中にもあるからなんだろうと思う。この世に生を受けた以上、明日死にたくないというゴールを持っている人たちがマジョリティとなるのは必然で、マジョリティがいる以上、マイノリティが生まれてしまうわけで、「マジョリティ」も「マイノリティ」も性欲だけでなく色んなところにあるわけで、それを分かり合おうとする姿勢にケチをつけるな。本当のところ分かり合えないことぐらいはなんとなく気づいていて、そのうえで分かり合おうとしているんだ。と、なんだかひたすらモヤモヤに近いイライラを感じた。
けれど、こう文字にするとひどく間違った読み方をしていたような気がしてきて不安になる。結局朝井さんの策略にハマった気がする。
やはりすごい作家さんだと認めざるを得ない。

「正しい欲」って何だろう。そもそも「正しい」って何だろう。あってはならない感情なんて、この世にいてはいけない人なんて、いない。それはきっと「正しい」。だけど、規制したり、取り締まったりしなければいけないことはもちろんある。例えば作中でも結局大きな事件への引き金となっている小児性愛なんて、社会が取り締まらないと、子どもは自分で自分を守れないし・・・と思考が止まらなくなる。それでも、「正しい欲」がなんだろうが、マジョリティだろうがマイノリティだろうが、やはり誰かとの繋がりが必要なのが、良くも悪くも人間なのだと思った。繋がる必要があるからこそ、悩むのだ。

読み終わって思うことは、それでもやっぱり「多様性」とか「みんなちがって みんないい」は、いい言葉だと思う。ただし、その言葉に安心して思考を止めてはいけない、ということ。

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うり子
うり子

途中、なんとなく読むのが疲れてきました💦なんだか登場人物みんなが

自分の考えを正論のように(声に出さずとも)主張しているようで、なんというか、もうちょっと柔軟に・・・と思ったり、そんなつもりはないのに、そもそも本書自体を否定するかのように感じてしまったりして、やはりどう感想を書くかとても難しい作品でした・・・。

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