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大井実さんの「ローカルブックストアである」で紹介されていた本書。さっそく図書館で借りて読んでみました。
著者はレイモンド・マンゴー。いい仕事がないからと自身で小さな書店を始めた著者は、そのことや、アメリカ各地をビジネス探訪して回ったことを本書で書いている。
が、何せ読みづらい。翻訳のせいなのか、原作のせいなのか。だらだらと長く、駄文が多い気がする。
しかし、たぶんよく読むと大変面白いものなんだろうと思う。「よく読む」時間がまたもやなかったので、良さがわからなかったのが残念・・・
「大人になって仕事をする=就職」という価値観が埋め込まれてしまっているので、なかなか自分でビジネスを起こすこと自体を考えることもしないが、本来「仕事」とはこういうものだったんだろうな、と思うビジネスがたくさん紹介されていたように思う。そして思ったのは、ビジネスが走り出しの小さいころはなんとなく全部胡散臭い。そのビジネスも、何だか知らないけれどそれに夢中になっている経営者も。だけどそれが大きなビジネスになって社会に認められるようになるとその胡散臭さを感じなくなるのは、単純にこっち側のとらえ方の変化であって、起業した人たちの信念なんかは変わっていないんだろうな、と思った。もちろん、大きなビジネスになるということは、需要があったからで、需要がなく小さいままのビジネス、終わっていくビジネスは胡散臭いままのものも多い。でもこうやっていちいち「なんか胡散臭いぞ・・・」と感じるのも、結局は「就職」という固定観念があるからなのだろうと自分の頭の固さを痛感した。
カタカナが苦手な私にはほとんどのビジネスが頭に入ってきにくい内容ではあったが、唯一名前を知っていた「ビルケンシュトック」をアメリカで売り出したという女性の話はなかなか印象深かった。彼女はそれが「良い物」だからビジネスを始めただけなんだ、というシンプルな起業の理由がすっと頭に入ってきた。その思いだけで成功できるわけではないのは重々わかっているうえで。まずは一度ビルケンシュトックを買ってみよう(←そこ?)。
「わたしたちに仕事は必要だし、仕事が生活の大きな喜びになったときこそ最高にしあわせなのだ。」と著者は書いている。
まさにその通り。
だからこそ、「生計をたてつつ、同時に自由で、たのしめるしごとをどうやってつくりだし、どうやって守りぬくか」が問題で、それについて考えることが本書の狙いだ、と訳者あとがきにすっきりと要約されていた。
こういうことをぼんやりとでも考える人にはおススメです。
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「好きなことを仕事になんかできない」とか「好きなことを仕事にしたら好きなことじゃなくなる」とか耳にしたことがあって、潜在意識の中でもそんなふうに思っていた気がしますが、決してそれは正しくはないと最近になって思います。こんな歳だし親も歳だけど(←わかる人はわかるフレーズ)今からでも模索してみたい、「生計をたてつつ、同時に自由で、たのしめるしごと」を。
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