【読書感想】じゃむパンの日 赤染晶子

読書

ブクログに投稿した感想をこのブログにも載せています。

私の本棚はこちら。良かったら寄って行ってください。

**********

なんだか一時期、すごく頻繁に本書のことを目にしたものだから、気になって気になって図書館で予約してみたら、まぁすごい数の予約が入っていた。で、やっとこさ借りることができた。

とりあえず余計な情報を入れずに読み始めた。「ズコーッ」という感じだった。あの、昭和の、ずっこけシーンの「ズコーッ」が頭にまず浮かんだ。面白い。なんなんだ、この人は。というか、この人の家族は。桃を買ってきて包丁で切って「おぎゃー」という声を発するおじいさん。娘が血を吐いて入院しているというのに、「ベレー帽を買いに行く」というお母さん。大正生まれのおばあさんの口癖が「何くそ;つ!」というのは、面白さとともに苦労が偲ばれてなんだか胸がいっぱいになるし。
で、ご本人も面白すぎる。教習所で右折がなかなかできないとか、編み物が趣味だというから、こちらもそのつもりで読み進めたら、手袋の右手が5つ(あれ、4つだったかな。まぁ、どっちでもいいか)できたとか。「なんでやねん」だ、本当に。わりと不器用で名を馳せている私でもぶっとんだ。

途中、気になって、著者のことをググってみた。芥川賞を受賞していた。若くして亡くなっていた。

それを知ってから少ししんみりしながら読んで、気づいた。「ズコーッ」はいっぱいなんだけど、なんとなく淋しさ、切なさ、哀愁、郷愁があるのだ、このエッセイは。たまに出てくる小児病棟の話は、どの視点で書かれたものなのか。結局最後までわからなかった。そのずっこける感じと哀愁漂う感じがなんとも不思議にミックスしていて、なかなか他にはないエッセイだと思う。たぶん、記憶からこぼれ落ちて読んだことや内容が忘れ去られてしまう読書にはならないんじゃないかと思う。

それでもやはり「面白かった」と言える。関西人でもない私でも、むしろ関西には避けられているんじゃないかと思うほど関西に縁がない私でも、「なんでやねん」と何度もツッコんでしまった。いつもバスタオル一枚しか身に着けていない留学先のドイツ人て、なんやねん!なんでやねん!

スパンスパンスパンと短い文章が、とても心地よい。説明がたりないはずなのに、わかってしまう文章。どちらかというと長い文章を書きがちな私にとってはとても新鮮だった。「今、私は短歌を読んでる?え?詩かしら?」なんて思ったことも。こんなふうにも文章を書いてみたい、そう思った。だから、このレビューでも意識してみた。

あぁ、この先、赤染晶子さんの作品が増えることはないのだと思うと、とても悲しい。

好みは分かれるかもしれないけれど、読んで損はない本だと、太鼓判を押します。ドン!

**********

うり子
うり子

これはまた面白い作家さんを見つけた!と嬉しくなりました。アハハと笑えるだけではない、なんか独特な空気感がある。本書について高い評価をつけているレビューには思わず、そうそう、そうなのよ、と共感してしまいます。

ところで・・・

今月は多忙と様々なプレッシャーにつき、毎週末に記事をアップしようという計画は、見事に崩れ去りました。読書自体あまりできませんでした。また、来年(来月)から意欲的に読書しようと思います♪

コメント

タイトルとURLをコピーしました