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同僚が貸してくれた本です。
これは小川洋子さんの初期の頃の以下4作品を収めたもの。
「完璧な病室」
「揚羽蝶が壊れるとき」
「冷めない紅茶」
「ダイヴィング・プール」
なんとも独特な世界でした、どの4作品も。小川洋子さんは、グロテスクな事象や残酷な心理描写などを、なんとも精巧で均等で美しい文章で表現するなーと思いました。本書の中でもあったような表現をお借りすると、つるりと冷たい陶磁器の美術品のような印象を受けました。
一番好きだったのは「冷めない紅茶」かな・・・。登場人物の関係性を含め、すごく曖昧で不思議な世界で、え、これはどういうことだろ、どうもこうもないのだろうか、と一瞬一生懸命考えましたが、もうこれはこういう世界のお話なんだと思うことにすると一番好きなお話になりました。
一番わからなかったのは「揚羽蝶が壊れるとき」かな~。
「ダイヴィング・プール」は、読んでいて少し苦しかったです。
表題作「完璧な病室」は、好き嫌いでいうと好きな方かな、くらいですが、一番小川洋子さんらしい作品のような気がしました。気がしただけです。
読んでいる間はなんだか、いつもの現実とは違う、一段暗い世界を、ゆっくり歩いているような感覚で、決して明るく楽しい短編集ではないですが、美しい文章に浸りながら小川洋子さんの世界をより知れた気がして、良い読書でした。
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うり子
小川洋子さんは私の中では、少し暗く、グロテスクで、とても美しい文章を書かれる作家さん、という印象です。積極的に読みたいと思わないのに、惹きつけられてしまう気がします。まだ読んでない作品がいっぱいあるので、これからこの印象がどう変わっていくのか楽しみです。
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