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「大好評コージーミステリ第二弾!読めば旅に出られる“おいしい”連作短編集。」とのこと。
あれま、前作があったのね。
タイトルだけに惹かれて読み始めてしまいました。
読んでいくうちに、主人公の瑛子と、「カフェ・ルーズ」の店主である円が以前からの知り合いで、ちょっとした何かがあったことが分かってくるので、「前作がある」ことは早々に気づきました。
とにかく全然知らない世界各地の食べ物が出てきます。すごい知識!と驚くばかり。特にスイーツはおいしそうで、どんな見た目でどんな味がするのか、とっても気になるものばかりでした。
こういった世界中の食べ物を出す「カフェ・ルーズ」に瑛子が通い、そこでちょっとした事件というほどでもないようなことが起こる。これが「コージーミステリ」といわれる所以なのですね。
このお話の時期はコロナによるパンデミック真っ最中、といった時期で、コロナによる暮らしの変化や、瑛子のような一人暮らしの人の不安、円のような飲食店経営者の苦難がきちんと書かれていました。コロナはなくなっていなくても、「コロナ禍」と言われるような状況ではなくなった今読むと、何をそんなに恐れているのだろうと思ってしまったけれど、本当にこんな感じでみんな恐れていたんですよね。あぁ、作者は、ちゃんと記憶していて、ちゃんと文字として残しているんだな、と変なところに感心してしまいました。
あまり感情移入できなかったけれど、淡々と物語が進んでいくのは小気味良かったです。
最後はそれまでとは違った、少し大きい事件が起き、「おや、これってもしやミステリ?」とやっと気づいた次第です。
日常生活でもよく経験するようなちょっとした人とのすれ違いや、価値観の相違などをうまく物語にしているなと思いました。特に「高見」やその妻「箱崎さん」なんて、容易には彼らの価値観や態度などを理解し肯定することができなそうで、実際に彼らが身近にいたらどうしよう、う~ん…とままならない気持ちのまま読み終えました。
前作も読まないと!、となったりはしませんでしたが、面白かったです。
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しかし、タイトルが良いですよね。「旅に出たい」そして、旅先のオサレな「カフェ」でまったりしたい、というような欲求にドストライク!まさに女子が好みそうなタイトルです。「読みたい本リスト」の中に近藤史恵さんの他の作品もあった気がするでの、次にばったりと出会うのが楽しみです。
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