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初めて読む作家さんでした。
1話完結で、メイン人物であるカフェ店主だけは毎回登場する。NHKとかで週末の夜11時くらいから放送されて、見終わったあとはほっこりして、いい気分のまま布団にもぐりこむ。
本書を読んで、そんなドラマが脳内で出来上がりました。ところどころにナレーション風の文章が入るので、余計にそんなドラマのように感じたのかもしれません。
悪くないんです。SNS疲れとか、他人軸の「ていねいな暮らし」に振り回される感じとか(これについてはなんか身に覚えがあるな~)、コロナが出現してからの生活の変化とかうまく物語に取り入れているし、平易な文章でも、心にすっと入る素敵な言葉もある。それぞれの物語の終わりは、主人公とともに前向きになれて、極悪人が出てくるわけでもない。そしておいしそうな料理や飲み物がエッセンスとして物語の中心に据えられる。しかもそれらはただ単に「おいしそう」というだけでなく、「これ、どんな味がするんだろう」と読み手の想像力が掻き立てられるような、ちょっと外国風の料理だったりする。
・・・あれ、なんだか、既視感。どうしてもどこかで読んだことあるような気がしてなりませんでした。青山美智子さんかなー、近藤史恵さんかなー、最近読んで、いい意味でも悪い意味でもあまり癖のない作家さんたちを、こうミックスした感じが、どうしてもぬぐえなかったです。最近はこういう作品が人気なんでしょうか。なんか傾向のようなものも感じます。もし、読む順番が違っていたら。本書を先に読んで、さっきの作家さんたちの作品を後に読んでいたら。たぶん同じように思ったと思います。だから、決して悪くはないんです。それに、もしこういう作風が本当に最近の傾向であるのなら、こういった短く、優しい物語が求められているということで、なんとなく、「あぁ、みんな疲れてるのかな、読書で癒されるっていいな」、と思います。
ただ、私の中でこういう感じはしばらくいいかな、という満腹感がありました。(が、標野凪さんの作品を3つまとめて借りたので、「しばらくいいかな」と言いながらも読みますが。)
この喫茶店の名前「ドードー」はあの絶滅した飛べない鳥からとったものだとか。実は最近、この「ドードー」という鳥を検索して、そのビジュアルを見て、ふーん、こんな鳥だったのね、と思った記憶があるのですが、何がきっかけでドードーを検索したか思い出せなくて、なんかモヤモヤします。「不思議の国のアリス」にも出てきたりと度々登場する有名な鳥みたいなので、やはり読書で引っかかって検索した気がするのに思い出せない。最後はレビューでもなんでもなくなってしまいました・・・。
サクッと読めて、ほっこりしたくて、元気をもらいたい時。
そんな時のお供におススメです。
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辛口評価になってしまいましたが、物語を紡ぐことができるというだけで大尊敬です。人に読んでもらうようなものを書くということは豊富な知識と発想と創造力と意欲と・・・、限りなくたくさんの能力が必要ですから。
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