**********
昔から大好きな本です。
昨年の夏、いわゆる学童保育に行かなくなって、多くの時間をひとりで過ごすことになった娘(昨年3年生)に「夏休み中に読んだら」とこの本を渡して、読み終わったと返ってきたのが、半年以上経った3月頃でした・・・驚くことに、読まずに積読になっていたわけではないのです。少しずつ読み進めて、気づいたら半年以上経っていたらしいのです。どんだけ~。「え?続きを読むとき、それまでの内容は忘れてないの?初めの方なんてもう忘れてるんじゃない?」と心配する母(わたしのこと)をよそに、根気強く読み続けやっと終わったという、どうでもいいエピソードでした。私の願い届かず、本好きには育ってないようです・・・
どうでもいいエピソードが長くなりました。もう一度言います。大好きな本です。この本から柏葉幸子さんにハマった気がします、小学生の頃。
あの宮崎駿監督が「千と千尋の神隠し」を製作するにあたって、インスピレーションを本書から得たと知って、鼻が高くなったってもんです。「でしょ、だってあの本、めっちゃいいもん。」と思った記憶があります。
傘に導かれるようにしてたどり着いたその町は霧のむこうにある不思議な町だった。それまでの田んぼが広がり町はずれに神社がある田舎と違い、まるで外国のような建物がたった6軒の不思議な町。あぁ、もう入口から心をわしづかみにされます。児童書ということで平易な文章で描かれているのに、なんでこんなにも情景が浮かぶのでしょう。ダラダラと長く説明が続くわけでもないのに、すぐにリナに感情移入できるのはなぜでしょう。
お父さんに言われるままにこの町にたどり着いたリナは、当初こそ、ピコットばあさんの厳しい態度に弱気になりますが、「働かざる者食うべからず」に従ってぐんぐんと成長していきます。自分が正しいと思ったことを行動に移し、「悪かったな」と思ったことは素直に謝り、人の気持ちを思いやる、という人として基本的で大事なことが、この霧の谷の町で自然とできているリナ。読み進めるうちにどんどんとリナの印象が変わってきます。コンプレックスだらけだったリナが自信をつけていく様は子どもだけでなく大人の私たちにもなんだか自信を与えてくれる気がします。
「リナは正式な招待を受けたから、迎えもあったし、正規のルートでこの霧の谷の町にやってきたけれど、この町はどことでもつながっていて必要な人はこの町にやってこれるようになっている。」というナータの説明を聞いたとき(読んだとき)、「私も行きたい!」と強く思ったことを思い出しました。あの学生さんのようにナータの本屋にふと足を踏み入れてしまって、その時、私に必要な本を買いたい!今でも切実に思います。
読んでいくうちに内容をだんだんと思い出し、「あぁ、そうだったそうだった」となるのですが、それでも先が気になって夢中になって読んでしまう。素敵な素敵なお話です。
そして、終わり方がまた素敵なのです。またきっと霧の谷の町に行ける。そういう余韻を残してくれます。大袈裟ですが、この終わり方だからこそ、小学生の頃の私はまだ不思議の世界への憧れをもっていられたんだと思います。
児童書と侮ることなかれ。ずっと手放したくない名作です。
*********
もうホント好き。(語彙力なし)小学校高学年になったら、全員読んでほしい(笑)
ジブリの「耳をすませば」で聖司がこの本を読んでいる場面があるという噂です。要チェックや!
コメント