【読書感想】八月の御所グラウンド 万城目学

読書

ブクログに投稿した感想をこのブログにも載せています。

私の本棚はこちら。良かったら寄って行ってください。

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いいじゃないですか!いや、いい!さすが、万城目学さん!
なんとなく「万城目ワールドにしては物足りない」とか「これが直木賞受賞作なのか・・・?」といったちょっと否定的な感想を耳にしていたので、逆にすごく楽しみにしていたのですが、良かった、の一言です。

本書は、「十二月の都大路上下(カケ)ル」という短編と、「八月の御所グラウンド」という中編の二つが収録されています。
前者は冬の京都が、後者は夏の京都が舞台となっていて、そのコントラストがまたいいのです。京都という町の「夏は暑く、冬は寒い」というわかりきっている事実があらためてガツンと響いてきました。

これは絶対ネタバレしたくないので(本書は何の予備知識もなく読んでほしい!)、あまり何も書けませんが、京都が舞台だからこそ腑に落ちるものがあった気がします。京都ならさもありなん、というか。そして、どちらのお話にしても、スポーツを主題としているからか、とても爽やかで、それでいて読後はあたたかい気持ちになります。
ひとつめのお話がいい感じに導入となって、ふたつめを読む前から「そうか、そういうことか。じゃ、次もきっと・・・」となるのですが、主題としてはふたつめの方が重い。
「なぁ、朽木。俺たち、ちゃんと生きてるか?」
楽観的に事象を受け入れ、素直にこういった言葉を言える多門(主人公の友人)がいい味だしてます。
そして、何より中国人留学生のシャオさんが何ともいえない良さを醸し出しています。
終わりがあっさりしていてちょっと物足りないくらいですが、この終わり方も潔くて好きでした。

万城目さんは必要以上に(?)京都の街並みについて記述されるので、本当に心の底から「あぁ、京都行きたい」となります。たぶんその思いがつもりつもって、先月、なんと約10年ぶりに京都に行ってきました!でもまたすぐ行きたい!万城目ワールドにハマる人あるあるでしょうか。
冒頭の扉絵が新京極のアーケードだったので、新京極あたりは散策できなかったことが急に悔しくなりました。

これまでの万城目ワールドとはひと味違いますし、わりとさらっと読み終わりますので、物足りなさはあるかもしれません。でも、とても良いお話でした。おススメです。

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うり子
うり子

ネタバレしたくないという思いでレビューを書いたら、結果何も伝えられなかった。久々に読書感想文の難しさを痛感しました。

!!注意!!以下、ちょっっっとだけネタバレ。

小さいうり子
小さいうり子

ここまできてのちょっとだけネタバレだよ。注意してね。準備はOK?

タイトルに「八月」とあることから勘づく人もいるかもしれません。そのことについて、声高に訴えることももちろん大切ですが、こういうふうに、心にしっとりと入ってくる訴え方っていいなと思います。それができるのが小説のいいところですよね。

あぁ、やっぱり万城目学さんの書くもの、好きだな~と思える良い読書でした!

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