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仕事を作るという発想すらなかった・・・。どこかの会社に入るのが当然だと思っていました、少なくとも若い頃は。
最近はだいぶ頭も柔らかくなってきたし、そういう働き方を見聞きするようになってきたので、突飛な発想だとは思いませんが、自分で作れるとも思いません(涙)
「そういう教育を受けてきたんだ。日本の教育ってそういうものでしょ。」と、開き直ってはいけません。だって、現に自分の仕事を作っている人たちを訪ねて行った記録が本書に残っているんですから。柳宗理さんやパタゴニア社は耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
本書は著者の西村さんが気になる仕事をしている人に会いにいき、インタビューをしたものであると同時に、著者自身が鋭くアンテナを張っている「仕事」や「働き方」に関する様々な角度からの思考がちりばめてあり、かなり内容の濃いものでした。
インタビューは、主にモノづくりやデザイナーといった人たちなので、いやいや事務仕事の私には関係ないわ、などと思ってはいけません。自分事に置き換え、自分の仕事、働き方を変えられるエッセンスは一杯詰まっていました。(細谷功さんの「具体と抽象」を読んだから、抽象化力が高まってるかも・・・!)
気になるフレーズ、エピソードはたくさんありすぎて、いちいち挙げていたらキリがないので、ぜひ本書を読んでいただきたいのですが、まだまだ理解できていないところもあり、これはまた期間をあけて読み直したい一冊だと思いました。というか、仕事に悩んだら、パラりとめくってみるといいかも。
本来、仕事とは自分が他者にギブできて、他者が求めているものやサービスを作り出すことだったはずなのに、いつの間にか仕事は会社で売られるものになった。我々サラリーマンは、会社で、仕事を自分の時間と引き換えに買っていると表現されると、ちょっとぞっとします。自分の時間の価値を思うと、とたんに。
著者も書いていたとおり、本書に書かれている内容で、こんな働き方があるんだとせっかく刺激を受けても、「でも、私はデザイナーじゃないし、モノづくりなんてしないし」と思ってしまってはもったいないことです。たとえ与えられた仕事であっても、「こなす」のではなく、「自分の仕事」として受け止め遂行する、まずはここからだと思いました。
早期退職を視野に入れている身としては、早期退職後の仕事について何か掴めそうな、でもまだまだ掴めないようなもどかしい読後感でもありました。
良い本でした。初版が2009年。もうそんな頃から、こんなことを考えて書籍にした人がいたんだな~と最後のページを見て思いました。古い本と思わず、ぜひ。
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この文庫本には10年後に加筆したものも掲載されていました。読者からの批判の声も載せてありました。みんながこういった「自分の仕事」ができるわけじゃない、嫌な仕事無駄な仕事をしなければならない人たちを否定しないでほしいと。この読者からへの声に対する西村さんの回答も含めてぜひ読んでみてください。
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