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おぉ・・・
この「2」はとっても気になるところで終わってしまいました。
オリエに「香君」として、自分と同じ特殊な能力がないことに薄々気づいていたアイシャですが、ムチヤリの幼虫による害から回復したオリエと、マシュウにそのことを含めた多くのことを教えられることになります。この、マシュウから綿々と語られる過去からの話に、時折ぼうっとして話がこんがらがってくる自分の貧相な脳が悲しい・・・。
マシュウの出自や自分との関係の可能性、それから、マシュウたちがこれからやろうとしている危険で重大な計画が知らされたとき、アイシャはマシュウたちとともに生きていくことを決めます。
マシュウが成し遂げようとしていることに対する協力者はアイシャとオリエのほかに、タク一家5人、ウライリ、オロキ、ミジマ、ラーオ師だけ・・・それだけ危険だということでしょうか。
それにしても、その「計画」の、途方もなく時間がかかることに、眩暈がするような思いがしました。タクおじさん一家はアイシャがやってくるまでにどれほどの長い時間をかけて苦労して実験に実験を重ねるようなことをしてきたのでしょう。自然と向き合うということは、こういうことなのだとあらためて思いました。急速に進んできたテクノロジーなどどは違うのですね。
さて、それから数年後、マシュウが心配していたことが現実となります。オゴダ藩でオオマヨが大量発生し、オアレ稲を広く焼却せざるをえなくなり、多くの民が飢餓で苦しむことになってしまいました。オアレ稲は、一度育ててしまうと、土をごっそり入れ替えない限り他の植物が育たないのです。オアレ稲は奇跡の稲でありながら、とても恐ろしい植物だったのです。
オゴダの民を救うべく、帝国に対して隠密に、アイシャは「密使」としてその身の上を隠して、ヨギ麦やヨギ蕎麦をオゴダの山間部の村々に植えつけるよう働きかけをしていました。当然、オアレ稲だけに頼っていなかった村では民が餓死することがないのです。タクおじさんたちが一生懸命やってきたことが少し実を結んだということでしょうか。しかし、当然ながら、ウマール帝国はそのことに疑念を抱き、香使オラムに調査を命じます。
そんな矢先、そのオラムが「オゴダの暁」という武人集団に攫われることになってしまい、オラムを助けに行ったアイシャも捕えられてしまいます。2人はオゴダ藩王の母ミリアが領主として治めるギラム島に連れてこられ・・・
というのが「2」のあらすじ。
これからアイシャとオラムが目にする驚きの光景というのが、何なのか・・・気になる~。
これはファンタジーですが、現実世界を反映しているように感じられて仕方ありません。ウマール帝国はオアレ稲で属国を鎖につないでいますが、現実ではそれが権力であったり武力であったり。オアレ稲もその特性を考えれば、現実の色々なものに置き換えて考えられそうです。
しかしながら、オアレ稲は、人々におなか一杯食べられるという豊さを与えてきて、長い目で物事を判断してそのオアレ稲をなくし、それと引き換えに民が飢餓に苦しむことを、一時的であったとしても、耐えなければならない、というのは、アイシャがいうように無理なことだと思いました。未来の国の繁栄がどうであろうと、ひとりひとりの民の命はひとつ、一度きりなのだから。
アイシャが、祖父がしてしまったことに対する責任を少なからず感じていることがわかります。
続きが気になりますが、文庫本「3」はまだ発売されていないよう・・・それまでに私の頭からこれまでのあらすじが消え去りませんように・・・!!(切実)
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過去も現在も、世界がどんどん広がっていきます。本当に上橋さんの頭の中はどうなっているのでしょう。こちらの乏しい想像力では追い付いていけないのが、悔しいくらいです。
本書では「オアレ稲」が富や権力の象徴であったり、鎖のようなものだったりしますが、現実の「オアレ稲」についてちょっと考えてみようかな、と、そう思う読後でした。
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