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気づいたら読書界隈(?)が成瀬成瀬と盛んに言っているではないか。「成瀬とは?」と、さっそくググってみると2024年本屋大賞受賞作の主人公の名前らしい。ふむふむ。まぁ、大賞受賞となると気になるところだが、読みたい本リストでいっぱいいっぱい。・・・しかし、身の回りをチョロチョロされる(つまり、ブクログのレビューでよく見るようになる)と大変気になるもので、成瀬成瀬という単語を目にするたびに、どんどんどんどん気になってきて、ついに図書館で予約。なんと、待ち、500番台!という話を母にすると、普段は流行りの本なんて気にもしていない母も成瀬が気になっていたらしく、購入してくれ、母から私へ回ってきたために、思いのほか早く読むことができた。
期待が大き過ぎるのはいかがなものか、と思いつつ読み進めた。なるほど、たくさんのレビューで読んだとおり、成瀬は一風変わった子らしい。読み進めるにつれ、成瀬の魅力にハマっていく。確かに、この子には魅力がある。しかし、本当に大賞を受賞するほどの作品なのか、妙に疑いながら読み進めた。
成瀬の魅力だけで大賞を取ったのかなどと、いらんことを考えていると、急に知らん中年たちの話になった(「階段は走らない」)。何かしら成瀬と関係があるはずだと読み進めるも、中年の一人が巻頭の「ありがとう西武大津店」での成瀬と島崎の目撃者であるということ以外、つながりが見えない。
どういう構成になっているのか、非常に気になる、読み進める。
次の短編「線がつながる」で、成瀬は高校生になっていた。「ありがとう西武大津店」と「膳所から来ました」で語り手だった幼馴染の島崎は違う高校に進学したらしく、視点は大貫かえでという別の子に変わっている。大貫かえでは、東大を目指すくらい優秀なようだが、島崎と違い、成瀬を非常に苦手と意識しているよう。この大貫かえでは他人を観察するばかり、自分のクラス内の位置や友人との関係を気にしてばかりで、あまり好きになれなかったのだが、実際のところ、学生時代の自分は、成瀬より島崎より、絶対的に大貫に近かったのではないかと思う(優秀さは似ても似つかないが)。すると、またまた成瀬が魅力的に見えてくる。さらには、島崎もかなり気になってくる。
次なる「レッツゴーミシガン」では、また新たな語り手が出てきて、さっきの中年たち(←中年中年と失礼な・・・)の話だけ異質なままで、ますます落ち着かなくなる。あれは何だったんだ、と中年が頭の片隅から離れないが、この短編も非常に楽しかった。成瀬の地元愛の深さに感心し、成瀬の魅力に一瞬でやられてしまった広島から来た西浦君には、「よくぞ、君は・・・」と心から褒めたたえたくなった。
そして、最後の「ときめき江州音頭」でやっと安心した。あの中年の話は幻ではなかったんだと。ちゃんとつながった。何を心配していたのだ、私は。そうでなきゃ、多くの人のレビューが成瀬の魅力を語るだけでなく、中年についての摩訶不思議を語ることになっていただろう。中年問題が片付いたところで、あらためて島崎にも魅力を感じた。最後に今までになく第三者の視点で書かれていたからかもしれない。あぁ、いいなこの二人、島崎にはぜひ、成瀬あかり史を見届けて欲しいな、と思った。しかし、その場合、島崎は二百歳以上生きなければならない。
最後には、「なるほど、本屋大賞だ、これ」と納得した。続編があるのをすでに知っているので、淋しく感じないのがよかった。また成瀬に会えるのが本当に楽しみ。
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文章としては非常に読みやすく、軽快に進んでいく。成瀬のセリフが今時のJKとは思えない、武士のような生真面目さのある言い回しで、これもまたテンポの良さに一役買っている気がする。今までだったらこんな話し方のJKがいたらびっくりするけれど、成瀬を知った今なら、もう驚かないだろう(いや、驚くよ)。
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