【読書感想】最後はなぜかうまくいくイタリア人 宮嶋勲

読書

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勝手に「ライトな読み物」と思い込んで読み始めたけれど、予想外にしっかりと読み応えのある本でした。
本書はワインを専門としたジャーナリストの著者が、長年仕事で付き合ってきたイタリア人についての考察を言語化したもので、言語化することでご本人も「イタリア人の法則」について認識するようになったと書いてありました。イタリア人とはそれほど深いものなのか。というか、我々日本人とだいぶ違うのです。「イタリア人の法則」を知れば、彼らにイライラすることが減り、楽しめるようになるというのです。

・待ち合わせをしても時間通りにやってこない。
・お客さんが並んでいるのに、従業員同士ペチャクチャおしゃべり。
・公共サービスはもはや頼れない。
こういったことは有名な現象ですね。そんなに海外経験がない私でも(渡伊は一度だけ)、何度か遭遇し、実際にイライラしたこともあります。
イタリア人あるあるのこれらにはこんな理由があるのです。
・「アポの時間は努力目標」という考え方がいきわたっているから。
・公私混同が当然だから。
・疎外された働き方にはやる気が起きないから。

詳細は本書をぜひお読みいただきたいのですが、「なるほど。その考えは日本人にはないわ~」と思ってしまうことばかりでした。

日本人としては、客を待たせるなんて、とイライラしてしまうところを、イタリアでは待たされている客までもが従業員のおしゃべりに入ってしまうというのだから・・・これが仕事とプライベートをわけないという姿勢からきているということか、と妙に納得してしまうのでした。資本主義社会のど真ん中で、「労働」がお金を得るための対価となってしまった我々からは考えられないことだけれど、どちらが幸せなのだろうとふと遠くを見てしまいました。これはイタリアでは、家族経営の中小企業が多いという事実も少なからず影響しているように思いましたが、どうなんでしょう。

第一章の「仕事」からかなり日本人とは違う感覚のイタリア人を知ることができますし、特にこの「仕事」にかかるイタリア人の法則は、今の仕事や働き方になんとなく思うところがある身としては、何かヒントになりそうな、何かが掴めそうな気がしました(結局、掴めていないのですが)。これはあとがきにあった著者の言葉ですが、「余裕のある労働は、サービスに対する寛容な態度なしには実現できない」。日本でいくら余裕のある働き方を提案しても、皆が高いレベルのサービスを求め、寛容でないのだから無理だろうということ。的を射ていると同時に、日本人とイタリア人を比較したときの、典型的な正反対の特徴だと思いました。

第二章以降も、いわゆる「イタリア人」像について、より解像度があがる、といった感じでした。
計画が苦手で成り行き任せ、野生の勘で物事を達成し、美意識が高く、自分にも他人にも寛容で、公共意識は低く、友達の友達は俺の友達で、マンマが家族を支配する・・・そんなイタリア人。やはり憎めない感じが否めません。イタリア人の友達、ひとりくらい欲しいかも。

何度もイタリアに行っているわけでもないし、イタリア人に知人がいるわけでもないし、つまり、イタリア人に困った経験があるわけでもないのですが、ひとつひとつの事例に妙に納得がいって、これで少しはイタリア人に対するイライラが減少するに違いない、と思いました。今後もイタリアに住むことはないだろうし、イタリア人の友達ができることもないだろうけど、再訪することはあるかもしれないので、読んでよかったと思います。イタリアに関わりがある人には激推ししたいと思います。

タイトルに惹かれて読もうと思った本でしたが、素晴らしく端的に内容を表したタイトルだと思いました。読了して、さらに、タイトルが全てを物語っていると思いました。

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うり子
うり子

イタリア人のお友達がいる方、イタリア人のパートナーが欲しいと思っている方、「半年後からローマに転勤なの」という方などに激推しですが、そうでない方も楽しめる本です!

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