**********
これはパケ買いならぬ、タイトル買いです。
正確に言うと、「冬期限定ボンボンショコラ事件」を先に知って、読んでも声に出しても可愛い「ボンボンショコラ」に「冬期限定」というなんともそそられる単語がついているので、「これは読みたい」と思ったのがきっかけです。シリーズものだったとは。しかも、米澤穂信さんとは。
「インシテミル」が絶っっっ対に私が読める類のものではないので、避けていた米澤穂信さんでしたが、「満願」を夫に勧められて読んでみて、「ほぅ」と思ったものです。無駄のないすっきりとした、理路整然とした文章で、私にはどこか冷たく感じた文章(内容と相まってそう感じたんだと思いますが)と「ボンボンショコラ」がつながらなくて、興味を持ちました。
それで、もちろん、シリーズ初めから読もうということで本書を手に取ったわけです。
小鳩君と小山内さんは、恋愛関係にも依存関係にもないけれど、互恵関係にある高校一年生。二人は入学したての高校でも、小市民を目指すべく、協力して「平和な」学生生活を送っている。送る予定。送るつもりだった・・・というところでしょうか。
始めは乗り切れませんでした。どうにも高校一年生とは思えない言葉遣い、思考、態度になかなかついていけなかったのかもしれませんが、これは小鳩君と小山内さんに限らず、登場人物みんなそうだと気づいて、さらに後半に差し掛かり、一気にノリノリになりました。
読み始めから疑問に思っていた「なんでそんなに小市民、小市民言うんだ。てか、そもそも「小市民」の定義ってなんぞや」が徐々に明らかになっていくのは、謎解きのようで面白いものです。そして、本当に謎解きのお話でした。なくなったポシェット、似通った二枚の絵、美味しいココアの入れ方、割れたガラス瓶、そして盗まれた自転車と春期限定いちごタルト。小市民であろうとする小鳩君ですが、どうしても小賢しく推理してしまいます。どうやらこの特徴のおかげで、中学生の時に何かトラウマになるような出来事があったようですが、詳細は本書では明らかにされません。おいおい明らかになるかもとシリーズの続きを期待するところです。小鳩君については、小学生の頃の友達であり、高校でまた一緒になった健吾の発言からもなんとなくわかってきますが、小山内さんについては疑問符がついて回ります。小山内さんはなぜあえて小市民を目指さなくてはならないのか。なぜ、小鳩君と互恵関係にないといけないのか。最後の方でやっと少し霧が晴れます。なんと、小鳩君が小賢しい狐なら、小山内さんは執念深い狼というではないですか!あの小山内さんが!と健吾と同じように驚くとともに、いや、ここまでのお話の中でそんな片鱗を見せていたな、と思い起こしたものです。そして、過去に何があったのか気になるところです。
そうこうするうちにエピローグ。小鳩君の推理は概ね当たっていたようだし、小山内さんが追い詰めた獲物はしっかりと(小山内さんの手でではないですが)捕えられたようです。お見事。それから二人で、反省会。小市民になるって決めたのに・・・、と。でも、大丈夫。健吾以外の周りの人にはまだ二人は「小市民」に見えているはず。がんばれ、二人。
ということで、次は「夏期限定トロピカルパフェ事件」です。楽しみ。
**********

多くの方が高評価でレビューしていたのにも納得。なんとも楽しい、軽快な推理小説でした。ミステリーというほど重くないけれど、ちゃんと謎解き要素がある。これはシリーズ完走せねば、と思いました。


コメント