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「なぜ、自分にはできないと思うのか。うまくいかないときにもめげず、腐らず、頑張った先で花を咲かせた女の話を、ほとんど知らないからではないだろうか。」と考えたジェーン・スーさんが、世の女性に贈る本でした。ジェーン・スーさんが敬意を表す13人(齋藤薫/柴田理恵/君島十和子/大草直子/吉田羊/野木亜紀子/浜内千波/辻希美/田中みな実/山瀬まみ/神崎恵/北斗晶/一条ゆかり)にインタビューしたものを、彼女たちの言葉と著者の言葉で綴ったもの。
名前は知っている人ばかりでしたが、詳しく知っている人はほとんどいなかったので、表面的にでもその人を知っているだろうという体で進む文章は、時にさっぱりわからなかったのですが(例えば、ドラマをほとんど見ないので、野木亜紀子さんのところが私にはわからなった・・・)、それでも、ギュッと端的に濃くまとめられた彼女たちのこれまでと、筆者ならではの知的な言い回しが清々しい一冊でした。
彼女たちに共通していると感じたのは、やわらかいけれど確かな軸を持っているということ。その軸で、猪突猛進に進んだかと思えば、意外と偶然きた波に乗ってのらりくらりとしていることもあるということ。そして、やはり何よりも感じたのは、強い。もうその一言。それはたぶん、多くの一般の人がしていないような苦労、それこそ淡々と語っているけれど、私には想像できないような苦労をしているからだと思いました(まぁ、それを「苦労」と思ってなさそうなとこもありましたが)。
あと、覚悟があると思いました。自分がしていることに対する覚悟だったり、表に出て多くの人に見られる覚悟だったり、SNSで叩かれる覚悟だったり。
13人の中で特に印象的だったのは、同じ福岡県出身だからというのも強く影響していますが、吉田羊さん。意外や意外、ネガティブというか謙遜がすぎるというか、本人曰く自己肯定感が低い。まずそれに驚きましたが、メディアからではわからないような姿がわかってくるのもこういった本(インタビュー)の良さですね。それから、浜内千波さん。あまり馴染みのない方だったのですが、なんかすっごく強いエネルギーを感じる方でした。好感が持てるエネルギッシュさでした。
みなさん、何かひとつ、自分には「これ」というものがあった気がします。
吉田羊さんなら「芝居」、浜内さんなら「家族の健康のための料理」、辻ちゃんなら「何よりも子どもを優先させるお母さん」。
その「これ」というのが、彼女たちが闘い、花を咲かせてきた場所なんですね。
やっぱり世に出る人は違うわ、と感じる一方で、世に出てなくてもすごい人はいっぱいいると思います。メディアに出ない=多くの人が知る機会がないというだけで。今度はそんな女性たちの話も聞いてみたいと思いました。
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やっぱりこういう本には否応なしに、勇気づけられると同時に、自分はまだまだだな、といるのかいらんのかわからん反省もしてしまいますね。そして、こうやって他人の人生を堂々とのぞき見できるのも、読書の良さですね。
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