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私はうつわに興味がないし、民藝のことなどの知識は皆無。バーナード・リーチ氏だとか、柳宗悦氏だとか言われても全然ピンとこないような人間なのですが、たまたま母に借りたので読んでみたら、まぁなんとも素晴らしい人で、素晴らしい考え方で、素晴らしい暮らし方で、もうびっくりしました。なんというかあまりにも自分の暮らしとかけ離れすぎていて現実味がないほどでした。
著者は鳥取県で岩井窯を営む陶芸家、山本教行さん。この岩井窯は、全国から年間一万人もの器好きが訪れる、知っている人にとっては有名なところだそうです。もちろん知りませんでした。
著者のブレない軸、危険すぎるほどの「好き」や興味の抱き方、そして「いい」ものは手に入れる、会いたい人には会いに行くという行動力にはもう脱帽です。
災害ですべてを失っても、夫婦そろって、悲観恨みつらみを募らせるわけではなく、「ギフト」だと言ってしまうその精神。
ものづくりをする者の土台としてきちんとした暮らしが大事だというその考え方。
幼い子に、プラスチック製ではない「壊れる」うつわなどを与えて、「壊さないようにする」ことを身をもって学ばせるというその姿勢。
あげればきりがないほど、感嘆してしまうお人柄、思想、暮らしでした。
そして、なにより、文章そのものが「山本教行」さんご自身を表しているかのようでした。なんというか、よそ見しないで、自分の好き、伝えたいことだけを一心に見つめて、かっこつけずに心から湧いてくる言葉を誠実に文章にしている。そんな感じでした。
全く興味のない分野にも関わらず、たぶん心の奥底にそっと沈んで忘れられない一冊になりそうな気がしました。
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人に慕われる人、常に周りに人がいる人は、やはり秀でた魅力を持っていると改めて思いました。山本さんの人柄に触れられた良い読書でした。


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