【読書感想】冬期限定ボンボンショコラ事件 米澤穂信

読書

ブクログに投稿した感想をこのブログにも載せています。

私の本棚はこちら。良かったら寄って行ってください。

**********

読了してみて、「小市民」シリーズ終わってしまったという淋しさが、まず、あります。

タイトルの可愛さに反して、本書はショッキングな事件から始まります。小市民が空を飛ぶんです。小市民とは小鳩くんのことです。

(あ、もうネタバレしてしまうと思うので、未読の方は要注意です。)

空を飛んだ小鳩くんの状況は決して良くなく、「死んでもおかしくなかった」という結構シリアスな状況です。
これが起こったのがクリスマスの頃で、翌月から始まる大学入試は無理だという現実が小鳩くんに突きつけられます。高校生といえど、まだまだ感情をコントロールできない年頃だろうに、小鳩くんは悔しさを爆発させたりせず、淡々と入院生活を送ります。
しかし、事故後、目を覚ます前に聞こえた「これは報いだ」という言葉と、三年前の今回と同様の轢き逃げ事件を思い出し、小鳩くんは、あり余る入院生活の時間でその三年前の事故についてノートに書き出すことにします。読者としてはふたつの事件を同時に追っていくことになります。
そして、この三年前の事件こそが、小鳩くんが高校では小市民を目指そうと決意したきっかけの事件でもあったのです。「春期限定いちごタルト事件」からずっと不思議に思っていた、「なぜ、そんなにも小市民たれ、と目指すのか」がわかる、と勢い勇んで読み進めました。
今回の轢き逃げ事故の前と後では小鳩くんの生活が一変してしまったように、三年前の事件と小鳩くんの関係を知る前と知った後では、私の「小市民」を目指す二人に対する気持ちが大きく変わりました。あぁ、それは、「小市民を目指そう」「これまでの自分とは違う自分で高校生活を送ろう」と思うよね・・・と、納得しました。
それほど、小鳩くんは「出過ぎたマネ」をしたのかしら、と思おうとしても、結果として今回の事件に繋がっている。日坂栄子は「あんたの顔は忘れられない」とはっきり言っているし、小鳩くんを見つけてしまって激情に駆られて事件を引き起こしている。恨みを買うようなことをしたことは間違いないようです。
当然、今回の轢き逃げ事故は歓迎されるものではなりませんが、結果的に小鳩くんがずっと心の残りに思っていた日坂くんへの謝罪がやっと、叶います。ひき逃げ犯も警察に連行され、三年前の事件の謎解きもようやく終わります。

小鳩くんは「結局のところ、自分があまり好きではない。」と言います。でも「受け入れるしかない」とも覚悟します。確かに、日坂くんについては、日坂くんへの配慮が足りなかったことは事実だと思うけれど、生きていたら意図せず人を傷つけてしまったり、反感を買ったり、恨まれたりしてしまうものです。だから、どうか小鳩くんには、少しでも自分を好きになってもらいたい、と思いました。
もうすぐ終わる高校生活。大学は京都に行くという小山内さんとはもう離れ、一人になる覚悟でいる小鳩くんですが、どうやら小山内さんはまだこの関係を続けてもいいと思っているようです。小鳩くんに一年遅れて京都に来ることを勧めます。私にとっては最後までつかみきれない小山内さんでしたが、二人の未来が少し見えた気がして嬉しかったです。(「わたしの次善」という小山内さんの呼びかけにピンとこなかったのですが、解説を読んでやっとわかりました。)

「巴里マカロンの謎」の軽いミステリでのほほんと「これ、可愛くて楽しいシリーズだな〜」とスキップでもしているような感じのまま、本書に入ったので、ズドーンとやられた気がしました。本格ミステリ派からすればそうでもないのかもしれませんが、私にとっては充分重いミステリでした。

最後に言いたい。
「小市民」シリーズ、好きでした!どのお話も、中盤以降ページをめくる手が止まらなかった。米澤穂信さん、すごいです。オススメです!

**********

うり子
うり子

いや〜面白かった。このシリーズはブクログで知ったので、ブクログに参加していてよかった〜と本当に思いました。顔も名前も知らない人が書くレビューを読んで自分では知らなかった本を知って、手にとって、読んで・・・いいですね〜。

コメント

タイトルとURLをコピーしました