【読書感想】祖母姫、ロンドンへ行く! 椹野道流

読書

ブクログに投稿した感想をこのブログにも載せています。

私の本棚はこちら。良かったら寄って行ってください。

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とても人気のある本のようで図書館の予約はだいぶ順番待ちしました。
なぜだか私は「ロンドン」というだけで心躍りますので、手に取ってすぐに本当に小躍りしながら読み始めました。

初めてお目にかかる作家さんだったのですが、ざっくばらんに、心の中のツッコミなども逐一文章にしてあって、とても読みやすかったです。あれよあれよという間に読み終わったのですが、読後は意外にも感動で胸がいっぱいになりました。とても良い本でした。

80代の祖母を孫がロンドンに連れて行くって、よく考えると親族一同にとって一大プロジェクトだと思います。だからこそ、航空機はファーストクラス利用、ホテルは超一流、そして英国に留学した経験があって、言葉に不自由のない孫(=著者)が選ばれ、いざ実現!となったのだと思いますが、それにしても、大変裕福な一族だとお見受けしました。著者にとっての伯父たち(つまり著者の祖母からすると息子たち)が、祖母をロンドンへと、お金を出し合って計画したというのですから、祖母姫は恵まれているというか、息子たちをそのように育てあげてご立派な・・・と思いました。「やや、この人たち、お金持ちやん!」(すみません、品がない表現で)、と思ったのは、祖母姫の言動(ご自身のことを「日本から来た高貴な人」などと発言されておりました)と、祖母姫の趣味の数々でございまして、趣味は茶道、華道、詩吟、歌舞伎・・・なんかが列挙されていたような記憶です。すご~い。一般ピーポーではないな。

やっと内容に触れていきますが、「(80代の祖母を連れた)この旅は大変なことになるぞ」と思った著者はファーストクラスでCAさんにこんな助言をもらいます。
「大切なのは、お祖母様には何ができないかではなく、何をご自分でできるのかを見極めることだと思います。できないことを数え上げたり、時間がかければできるのにできないと早急に決めつけて手を出したりするのは、結局、お相手の誇りを傷つけることに繋がりますから」
この言葉、著者同様、私も素晴らしい助言だと思いました。「親の介護」が現実味を帯びてきている今、出会ってよかった言葉でした。

本書を読んだ方にとってかなり印象に残るであろう、ロンドンの超一流ホテルのスタッフの方々!まさしく、「イギリス紳士」でございました。そこには「仕事」を超えたものがありました。
一例ですが、英語を理解しないとわかっていても通訳役の著者ではなく、きちんと祖母姫の目を見て話す、そして、祖母姫もきちんとバトラーさんの目を見て、日本語で返答する。これって、すごく素敵なことだと思いました。「どうせ通じない」ではなく、お互いに話したい、意思疎通したいという思いが無意識にそうさせるのではないかと思いますが、印象に残るエピソードでした。

それから、バトラーさんが「お茶請けに」と梅干を用意してくださったときのエピソードも素敵でした。もちろん、梅干も間違っているわけではないけれど、こういう時(疲れた時)は羊羹の方が・・・という嘘偽りない感想を「バトラーさんが今後日本のお客様を迎えるにあたって、バトラーさんのために」素直にアドバイスとして言葉にする祖母姫。その毅然とした誠実な姿勢に感動しました。人と人の本当の交流とはこういうことだと思わされました。対するバトラーさんも誠実そのもの。とても印象的な出来事でした。

そしてそして、ロンドン最後の夜の冒険。私は心の中で「映画か!」とツッコみました。バトラーさん大活躍。ここは読んでいてワクワクするところなので、詳細は控えます。
そしてそしてそして、最後のランチ。これもあまりにも素敵なので、ぜひ読んでいただきたい。「映画か!」。詳細は控えます。

それにしてもお二人が滞在したホテルが本当に素敵で、名前こそ伏せてありますが、今の時代、ちょちょっと検索したらひっかかりそうです。いつか、自分もこんなホテルに泊まってみたい、それを目標に頑張るぞ、と思ったのも束の間でして、大金をはたいて泊まったとしても、祖母姫のような気品のない私は、ファッションや言動からお里がバレてしまいます。常日頃から、人間性を磨き、品よく、良いものを見る目も鍛えなければ、とても祖母姫のようには振る舞えないと痛感しました。

最後に、お祖母様から著者への言葉を引用します。
「謙虚と卑下は違うものなの。自信がないから、自分のことをつまらないものみたいに言って、相手に見くびってもらって楽をしようとするのはやめなさい。それは卑下。とてもみっともないものよ」
どうです、この言葉。これまでのさまざまな言動でも気づいていましたが、お祖母様は品が良く、誇り高いマダムというだけではなく、芯が強く、周りへの思いやりにもあふれた素敵な方だとわかりますね。

私の人生では起きないであろう豪華な、しかし、祖母姫の秘書孫として大変な旅行を疑似体験させてもらいました。読書ってありがたいと心から思いました。楽しい旅路でした。

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うり子
うり子

最後ちょっとじーんとしたのは、これが結構昔のことで、もうこの祖母姫と会えないからでしょうか。祖母姫の晩年には疎遠になったというその理由もなんか胸にくるものがありました。

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