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私は古い人間(昭和の人間)なので、著者名が「しんめいP」っていうだけでうさんくさいと思って、書店やこのブクログで目につく頻度があがっていても、「興味ないもん」という姿勢を貫いていましたが、夫が買っていました。どうしたんだ、何かに悩んでいるのか、終始冷たい妻(私)ではなく、哲学に頼りたくなったのかと、ちょっと心配になりましたが、読んでみて、よかった。すごくよかったです。
東大卒だけど、仕事ができなくて、相当こじらせて、最終的に東洋哲学に救われ、本まで出版し、「自分とかない」とか言いながら、承認欲求にまみれ、それでもやっぱり東洋哲学に救われ、再婚し・・・
って、なかなかすごい人です、このしんめいPさん。
本書がわかりやすいのは、口語体の読みやすい文章で、著者なりに誰にでもわかるように「超訳」していることが大きな要因だと思いますが、なんといっても、詰め込みの知識披露ではなく、実体験に基づいているということ。実際に「人生終わった」と思ってからがこの著者のある意味スタートで、そこから東洋哲学に救われている。そこの記述がきちんとあるからこそわかりやすいんだと思いました。
本書で紹介されているのはブッダや老子など、名前だけならみんなが知っているであろう人たち。表紙に書いてあるからここにも列記してしまいますが、こんな教えを広めた人たちだったとは知りませんでした。
・ブッダ 自分なんてない
・龍樹 全部、空
・老子 ありのままが最強
・荘子 この世は夢
・達磨 言葉はいらねぇ
・親鸞 他力本願でOK
・空海 欲あってよし
そういえば、小学3年生頃だったと思いますが(あ、ここから私個人の話になりますので、読み飛ばしていただいてOKです)、地球が広い広い宇宙にあるひとつの惑星に過ぎないこと、ブラックホールは果てしないことなどを知り、なんて自分はちっぽけな存在なんだと、生まれて初めてそんなことを考え、めまいがするように頭の中がくらくらした時に、太陽を見上げ(たような記憶がある)、そして目線をそこら辺にいた野良猫に移したときに、ふと「あの猫も私なんだ」と思ったことがあります。これって、龍樹の「すべてがつながっている」ですよね!私、あの頃に悟っていたということ?!
まぁ、そのふと湧いてきた「悟り」をそれから肯定も否定もせず、東洋哲学とも仏教とも何の関りもなくここまできたのですが、猫を見て「あの猫も私なんだ」と思ったその出来事は覚えています(記憶違いでなければ)。
そんなことを思い出しつつ、東洋哲学は時にハードゲームとなりうる人生を乗り切っていくためのよりどころとなる考え方なんだと思ったときに、「宗教」というものの存在意義についてもまた考えがひとつ深まった気がしました。(宗教というものへの理解が私はとても浅いという認識があります。)
個人的にはやはり本書のタイトル通り、ブッダの「自分なんてない」がすっと入ってきたというか、生きやすくなる最強の指針のひとつになるのではないかと感じました。「自分」というものへの執着を捨てたら、色々なことから楽になる気がしました。他人を妬むのも「自分」があるから、イライラするのも「自分」軸で考えるから、人の目を気にするのも「自分」がかわいいから。人生うまくいっている時は「自分」があってもいいのかもしれない。でも、著者が言うようにしんどくなったら「自分なんてないよ」という東洋哲学があると知れたことは大きな収穫だと思いました。
それにしても、参考文献の多さと、難しそうな本の多さには驚きました。「大乗仏典」とか「歎異抄」なんて読める気がしません。ここらへんが、東大に行ける方のその頭脳の素晴らしさを物語っている気がします。そして、参考文献について、どのように参考にしたか一言添えてあるのがいいですね。参考文献へのリスペクトを感じます。何十回も読んだ本もあるとのこと。一冊の本を書き上げるということはこういうことなんだとその膨大な読書量に尊敬の念をいただきました。(私は好きな本でも5回以上読んだ本なんてないかも・・・)
難しそうな本は無理ですが、「反応しない練習」や「親鸞100の言葉」あたりは読めるかもしれないので、いずれ読んでみたいと思いました。(著者おススメとして挙げられていた「禅、シンプル生活のすすめ」の枡野俊明さんは「限りなくシンプルに豊かに暮らす」を読んだことがあったな~と思い出しました。この本もとてもよかったです。)
東洋哲学が身近に感じられるとか、わかりやすかったというありきたりな感想で締めるのもなんですが、東洋哲学が身近に感じられ、とてもわかりやすかったです。なんとなく疲れたり、しんどくなったり、仕事に行きたくなったりしたときに手に取れるよう、本棚に置いておきたいと思います(あ、夫の本だった)。
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期待していなかったので(失礼な)、とっても良かったです。この読書をどう活かすかは自分次第で、それこそ東洋哲学の懐の深さなんだと思いました。

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