【読書感想】ベルリンうわの空(三部作) 香山哲

読書

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(三部作をまとめてレビュー投稿)

どこかで「オススメの漫画!」とあったことがとても記憶に残っていたのと、色々な方面から「どうやらベルリンっていい街らしい」というあやふやだけど確かっぽい噂が漂ってきたのとで、読むなら「今でしょ」と思って、思い切って三部作大人買い(←大袈裟。たった三冊。)

第一作目「ベルリンうわの空」
第二作目「ベルリンうわの空 ウンターグルンド」
第三作目「ベルリンうわの空 ランゲシュランゲ」

作者の香山哲さんのインタビューは検索すればすぐにヒットするので、香山さんのことや、この作品を詳しく知りたい方はそちらを参照いただくとして、私的に、おおまかに説明すると・・・
第1作目は、「自分はこういう気持ちで生活したい」、「こうありたい」、という素直な思いが実現しそうな環境を求めてベルリンに移住してみた香山さんが、「ベルリンって最高かも!」という印象を抱き、丁寧な視点でベルリンという街や、ベルリンでの暮らしについて眺めたことを描いたもの。
第2作目は、ベルリンでの暮らしの中で人とのつながりが広がり、友人たちと地下のテナントに「清潔スペース」という名のシャワーや洗濯機を提供する場所を作り、完ぺきではない社会の中で自分がどうあるべきが、何をやっていくべきか、社会問題や政治についても触れつつ、描いたもの。
第3作目は、もはやベルリンどうこうではなく、ストーリー性もなく、香山さんの内省を読んでいる感じ。香山さんがどんなことを考え、何を大切に生活しているかが描かれている。

「ベルリンのことを知りたい」と思って読みだしたので、そこは正直なところ、充分満たせたというわけではなかったけれど、「オススメ」とあった理由はよくわかった。どこであろうと結局毎日の生活が大切なのは不変なことで、その生活をする「環境」が自分に合うか合わないかを素直に求めて移動できる香山さんはある意味、とても恵まれた人なんだと思う。けれど、謙虚で内省深く、慎ましく静かに穏やかに生活していることが丁寧な表現で伝わってきて、嫌みがない。さらに、自分だけでなく、周りの人々、特に社会的弱者とよばれる人達への大切な視点も忘れていない。それが特に第二作目に表れているんだけれど、シンプルにこういう人が多ければ多いほど、その街は優しくなるんじゃないかと思った。

余談になるけれど、ネットで検索した香山さんのインタビューに以下のような記述があった。
「たとえば日本だと、外にいても自分のカプセルにこもっていやすい空気がありますよね。スマホをずっと見て、他人との交流を遮断することもできますし。でも、ベルリンでは街に出れば「公共の中の自分」という空気が少し強く感じる。信号無視をしないのは自分の安全のためだけじゃなくて、子どもが真似したら危ないから。」
一度しかドイツには行ったことはないし、しかもベルリンではなかったけれど、これ、すごく「あぁ、そういことか」と腹落ちした。私の経験なのだけれど、ドイツで車通りのそんなに多くない通りを渡ろうとしていると、車がすっと当たり前のように止まってくれたことがあった。こちらとしては、そんなに車通りも多くないので、その一台が行ってしまってから渡ろうと思っていたので、とても恐縮してしまった。という感じのことが短い滞在の中で何度かあった。その時は「マナーがいいな」、と単純に思っていたのだけど、上記の香山さんのインタビューで、「そういうことか!」と腑に落ちた。

なんとなくだけれど、日本人(と言ったら主語が大きいけれど)も「恥ずかしがり屋」だとか「シャイ」だとかを言い訳にしないで、そろそろ「社会の中の自分」を意識した行動を取った方がいいのではないかと思った。成熟した社会になるにはそういったことも必要なのでは・・「社会の中の自分」を意識するともっと人とつながるようになると思う。そうすると、例えば「道端で困っている人を見てみるふりする大人、大人が動かないから行動する子ども」みたいな変なことも減るのでは。

と、香山哲さんの漫画から自分なりに考えが広がった。つまり良い漫画だったということだと思う。

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うり子
うり子

んんん、やはり、ベルリン、行ってみたいです!!自分の目でも見てみないと。

コメント

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